社員に「マーケット感覚」を身につけさせる3冊
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
こんにちは、土井英司です。先月から、テーマを決めて1テーマにつき3冊の関連書をご紹介しています。
今月は、社員に「マーケット感覚」を身につけさせる、とっておきの3冊をご紹介。社内で新規事業がバンバン生まれ、海外市場での販促アイデアも飛び出す、そんな企業になることを祈りつつ、さっそくチェックしていきましょう。
まずは、人気ブロガーでベストセラー作家「ちきりん」さんが書いた、『マーケット感覚を身につけよう』を見てみましょう。『マーケット感覚を身につけよう』は、日本有数のアクセスを誇る「Chikirinの日記」の執筆者、「ちきりん」さんによる「マーケット感覚」を身につけられる本。「マーケット感覚」というと、一部の商売人や、商売人の子供にだけ備わった、天性の勘のようなものと思われがちですが、それは違います。
★マーケット感覚を身につけよう(ちきりん著/ダイヤモンド社/定価1,620円)
本書では、この「マーケット感覚」を、1つの思考法と捉え、マーケットを理解するための要素を7つに分けて説明しています。7つの要素は、以下の通りです。
【市場の構造を理解するための要素】1.取引される価値2.買い手=需要者(価値を入手する人) 3.売り手=供給者(価値を提供する人) 4.取引条件(価格など)
【市場の動きを理解し、予測・利用するための要素】5.買い手と売り手が取引する動機 6.それぞれの要素に起こりうる今後の変化7.市場の中で選ばれるための方法
興味深かったのは、日本の製造業がウリにしている「Made in Japan」に代わる概念を提唱していること。<日本の製造業はよく「Made in Japan」を売りにしようとしますが、それと同等以上に「Used in Japan」「Accepted in Japan」「Best seller in Japan」には価値があります。ところが日本のメーカーは「日本製」には強いこだわりがあっても、「日本で売れている」ことに価値があるとは、まだ気がついていません>
社員全員がこういったマーケット感覚を持てば、御社でも新規事業、新商品のアイデアがバンバン出てくるはずです。
続いてご紹介するのは、マーケティングの決め手となる「顧客発見」のポイントを、元博報堂のクリエイティブディレクターが説いた1冊。 本書『マーケティング・センスの磨き方』 では、データ分析にとどまらず、いかに顧客のインサイトを発見し、商品開発やマーケティングにつなげていくか、プロの手法が説かれています。
★マーケティング・センスの磨き方(黒澤晃/定価918円)
著者は、現在商品を採用していない「外れ顧客」の分析の必要性を説きますが、その良い例が、発売まもなく50万本を売り上げた、パイロットの万年筆「カクノ」ではないでしょうか。
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●土井英司(どい えいじ)出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。http://eliesbook.co.jp/bbm
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