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日々、流れてくる、労働関連の多彩なニュース。本コラム欄では、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を、持ち回りで執筆します。
ここ数年、週3日勤務や1日6時間(4時間)勤務での正社員募集など、今までパート・アルバイトとしての働き方であった、短時間勤務での正社員化(無期雇用化)のニュースを耳にするようになってきました。こういった動きの背景にはどのような要因があるのでしょう。
◆企業における「パート・アルバイトを雇用する理由」が変化
当研究所で毎年発表している『パートタイマー白書』。ほぼ毎年「パート・アルバイトを雇用する理由」を調査しています。2003年当時「人件費が安いから(割安だから)」とした回答が、73.7%と飛びぬけて高い理由でした。
しかし、その後2007年を境に、パート・アルバイトの雇用理由が、“低コスト”という趣旨の回答は減少を続け、そして本年(2015年)の調査では33.3%までに減少し、調査開始以来初めて第1位の理由ではなくなりました。本年の調査において最も回答が多かった理由は「簡単な仕事だから」41.8%次いで「短時間の仕事があるから」40.7%となっています。
2007年といえば、パートタイム労働法に「均衡処遇」の概念が盛り込まれた改正が行われた年です(施行は2008年)。その改正内容は、職務の内容や人材活用の仕組み、労働契約期間等が同じであれば正社員と同等の待遇を行うこと、また同じではなくとも、均衡のとれた待遇を行うことが盛り込まれました。その後、2015年正社員と同等の待遇を行わなければならない対象を広げる改正法が施行され、均衡処遇をより意識する必要があると言った状況になりつつあるのかもしれません。
この他にも、不合理な待遇差を是正するために、最低賃金の大幅な引き上げや労働契約法改正(5年超の継続勤務で無期雇用転換権の発生)なども行われています。
また昨今では、景気の回復傾向や労働人口の減少を受け、採用が難しくなる中、パート・アルバイトの時給も増加傾向となっています。※当社求人媒体の募集時時給の平均は西日本で36か月、東日本で31か月連続で前年同月比を上回っています(2015年6月現在)。
このような状況下において、もはやパート・アルバイト労働は、ただ単に安い労働力として捉えられなくなっています。
次ページ以降は...
◆パート・アルバイト雇用のニーズは減少?
◆新しい雇用形態が生まれつつある?
◆雇用形態が転換できる必要性
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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。
1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。
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