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日々流れてくる労働関連の多彩なニュース。本コーナーは、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を持ち回りで執筆します。
平成28年10月より、パートタイマー等の短時間労働者に対して、社会保険の適用基準が拡大実施されました。社会保険に自ら加入しなくてはならなくなると、今まで被扶養配偶者として働いていたパートタイマーにとって、その社会保険料負担は大変重いものとなります。また、保険料負担は労使折半となるため、企業側にとってもその影響は大きなものとなるに違いありません。
◆影響の範囲は?
しかし、影響が大きいとみえる今回の改正も、現場では影響やその対策には温度差があるように感じます。それは、今回の改正によって影響をうける労働者の人数がそれほど多くはないかもしれないからです。
対象者が少ないと予想される理由は大まかにふたつ。
ひとつ目の理由は、適用となる企業が限定されていること(社会保険の被保険者数が501人以上の事業所)。もうひとつの理由は、対象となる労働者の労働条件にあります。そしてこの理由は、現在検討が進んでいる配偶者控除の見直しにも大きく関連していると思われます。
平成28年版「パートタイマー白書」昨年1年間の収入
当社の調査(平成28年版パートタイマー白書)によれば、パートの年収は、「103万円以下」が61.2%と最も多く、約6割を占めています。第2位は「103万円超130万未満」の20.8%。パートの多くは、配偶者控除に関する基準以内で働いている様子が分かります。
社会保険の適用拡大の対象者が少ないと予想されるのは、年収基準がおよそ106万円以上(月額8万8千円以上)となっているからです。
年収を収入制限の「カベ」としてとらえるのであれば、税制や社会保険について見直しを進める際の年収額の基準は103万円の壁がもっとも大きくなっています。このカベを崩した時に多くのパート労働者の働き方に大きな影響を与えることとなります。
>>次ページ以降は...
◆女性の就労拡大は進んでいる?
◆パートで働く理由
◆企業がパートを雇用する理由の変化も
◆社保適用拡大、企業はどうする?
◆衰えないパート雇用のニーズ
◆今までのパート労働は三方良しの働き方?
◆配偶者控除がなくなったら、どうのように働く?
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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。
1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。
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