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日々流れてくる労働関連の多彩なニュース。本コーナーは、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を持ち回りで執筆します。
ディーセント・ワーク(Decent Work)という言葉をご存じですか。直訳すると「きちんとした仕事」となりますが、意味するところは「働きがいのある人間らしい仕事」です。1999年、国際労働機関(ILO※)の事務局長に任命されたフアン・ソマビア氏が、就任時に掲げたスローガンです。21世紀のILOの目標として提案され、支持されました。
※国際労働機関(ILO:International Labour Organization)
労働条件の改善を通じて、社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与すること、完全雇用、労使協調、社会保障等の推進を目的とする国際機関。日本はILO加盟国として、各種会合に積極的に参加。
提案の背景には90年代、新興国の台頭などの影響で、企業によるグローバル競争が激化したことが関連しています。グローバル化は各国の経済成長を推進し、世界に大きな発展をもたらしました。その一方で、激しい競争によるしわ寄せから、労働者権利の軽視や所得格差の拡大、失業率の増加など、多くの問題も発生しています。
過労死・過労自殺の認定件数、高止まり
先月7日、日本労働組合総連合会(連合)は、全国一斉にディーセント・ワークの実現を訴える街宣アピールを行いました。10月7日は国際労働組合総連合(ITUC)がディーセント・ワーク世界行動デーとし、2008年より世界一斉行動の実施を呼びかけています。
同日、あるニュースが衝撃をもって受け止められました。大手広告代理店の新入社員が過労自殺だったとして労災認定されたことを、遺族側弁護士が会見で明らかにし、大きな話題となりました。東京労働局などによる立ち入り調査も実施され、その動向が注目されています。
今年、厚生労働省が初めてまとめた「過労死等防止対策白書」によると、2015年度に過労死で労災認定された人は96人です。過労死による労災認定は2002年度に160人にのぼりましたが、14年ぶりに100人を割っています。しかし、今も抜本的な対策はとられていません。
このところ、労働に関するネガティブな報道が目立っています。過労死以外にも、ブラック企業、オワハラ、マタハラなどの問題がマスコミで取り上げられ、個人の労働環境や企業の労務管理が注目されています。
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●文/三宅航太
株式会社アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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