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日々、流れてくる、労働関連の多彩なニュース。本コラム欄では、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を、持ち回りで執筆します。
採用選考の指針、「ほとんど守られていない」54.6%
11月15日に、日本経済団体連合会(以下、経団連)から「2016年度 新卒採用に関するアンケート」が公表されました。注目すべきは、2017年4月入社学生対象の採用活動のスケジュールについて。以前から「卒業前年度の3月1日広報解禁、卒業年度の6月1日選考解禁」という“採用選考の指針(以下、指針)”が出されていましたが、振り返ってみると「あまり守られていない」が35.0%、「ほとんど守られていない」が54.6%。合わせて89.6%に上り、効力が弱かったことがうかがえます。
「指針」のスケジュールにとらわれずに活動を行う企業への受けとめとしては、「指針のスケジュールが実態に合っていないので、守らないのはやむをえない」(55.8%)、「ルールを守らない企業が先に優秀な人材を確保するのは不公平である」(43.4%)との回答が多くなっていました。指針を守らない企業に一定の理解を示す一方、不満も滲み出ています。
揺れるインターンシップの定義
ここ数年で、広報活動や選考活動の開始時期の繰り下げや、広報活動開始から選考活動開始までの期間短縮などがなされました。そんなスケジュール変更の中で変化を見せてきたのは、「インターンシップ」です。特に、2017年卒学生は、採用活動全体の期間が短縮化されたことに加え、売手市場ということも相俟って、企業の中ではインターンシップを通じて少しでも早く学生に接触し、今後の採用につなげようとする動きが広がってきました。
そもそも、インターンシップは以下のような形が求められています。
産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環と位置付けられるものである。したがって、その実施にあたっては、採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある。
〜経団連「採用選考に関する指針」の手引き(2015年12月7日改定)より
さらに、「5日以上」「採用選考活動と関係がない旨をホームページ等で宣言」「インターンシップで取得した個人情報は、その後の採用選考活動で使用しない」こと等が求められ、「企業広報を含むプログラムは、広報活動解禁後に実施すべき」ともされています。
ところが、前述の調査から大きな矛盾も見えてきます。「インターンシップに関する規定で見直すべき内容」について、以下のような結果となっていました。
1位:実施期間(5日以上) 42.2%
2位:取得した個人情報の採用選考活動での使用禁止 35.9%
3位:特に見直すべき規定はない 35.7%
ここから見えてくるのは、現状のインターンシップの在り方やその縛りに対して、不満や窮屈さを感じている企業が多いことです。また、インターンシップが採用と直結することについても、「認めるべき」と回答する企業が61.4%に上り、「認めるべきではない」の34.7%を大きく上回っていました。企業が、インターンシップを単なるCSRではなく、その先の“採用”までを期待した取り組みとして意識していることは明らかです。
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●文/古橋孝美(ふるはしたかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。求人広告の営業職として、人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動。パートタイマー白書、新卒採用・就職活動に関する調査等のアンケート調査を担当。雇用の現状や今後の課題について調査を進めている。2015年出産に伴い休職、2016年復職。
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