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人材育成のツボ

事例で学んだ「研修効果を倍増させる方法」

アイデム人と仕事研究所の研修部門の所員が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづる「人材育成のツボ」。今回は、“事例で学んだ「研修効果を倍増させる方法」”です。

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効果倍増のコツ「上司の研修会立ち会い」

 企業内研修を実施させていただく際、できる限り上司の方の研修会への立ち会いをお願いしています。なぜなら、これこそが「研修効果を倍増させる」隠れたポイントだからです。

 しかし、多忙等の理由から立ち会われる企業は少なく、たとえ研修会場に顔を出されても少しの時間で退室されるケースがほとんどです。研修中の部下の様子が、気にならない上司はいないと思うのですが…。

 そこで、研修に立ち会われた上司の活躍で、研修効果があがった事例を、ご紹介させていただきます。


“社長の想い”をプランニング

 食品製造販売業を営んでいる従業員数約300人(店舗を京阪神中心に展開)の、企業様での話です。同社の社長は、今後の店舗展開・リピ−タ−の獲得などを考え、現状に満足せず、さらなる接遇力アップの必要性を感じていらっしゃいました。

 そんな社長の求める販売員像は、「売る前に、お客様のお役に立つ販売スタッフ」。毎年、社内スタッフ研修にはしっかりと時間をとって実施されている企業ですが、今年も店舗力・接遇力強化の目的で、こうした販売スタッフを育成すべく、研修でお世話になりました。
 ちなみに受講者は、各店の販売スタッフ60名。これを2班に分け、1班30名で実施します。

 もちろん、1回の研修で販売スタッフが180度変わるようなことはありえないと、社長も思っていらっしゃいます。そうではなく、研修後も日々の仕事を通じて成長が続くような、参加した販売スタッフ1人ひとりが「明日から実践すること」を明確にできる研修にしたい――、そう、講師と打ち合わせし、プランニングしました。


上司の「参加」でモチベーションアップ!

 各店舗からお見えになるので、研修会場には「久しぶり!」「元気!」の声が交差していました。こういうとき、店舗展開をしている場合など“普段なかなか会えない”同僚と、顔を向き合わせ、話しができる場の必要性を感じます。従って、2日間、朝9時から午後5時までの研修も、これを考慮したグループ分け(1グループ6名×5チーム)としました。

 2日間の研修を無事終了し、特に印象的だったのは、研修終了後のスタッフのモチべ−ションが、非常に高いことでした。その要因こそ、2日間を通して研修に立ち会われた、部長・課長の存在です。一言でいえば、スタッフと一緒に研修に参加されていたということです。

 例えば、グル−プディスカッションの時には、邪魔にならないよう気を付けながらも、各グル−プに近づき、多様な意見に耳を傾けます。さらにクレ−ム応対のロ−ルプレイングの時には、「実践演習の成果が上がるように」と、“「クレ−ムを言うお客様役」”を買って出て、見事に演じていらっしゃいました。
 また、講師の投げかけには受講者と同じく反応を示し、研修室内が1つになっていました。

>>>次ページに続く

 

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●文/小野山 哲朗(おのやまてつろう)
株式会社アイデム人と仕事研究所でキャリアカウンセラー(CDA)、社会保険労務士資格を持ち、企業・求職者向け研修の講師と企画に携わる。

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