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労働契約法改正により「雇止め法理」が制定法化(施行済)されました。制定法化されたということは一体どういうことなのか?また、来年4月施行を控える「無期労働契約への転換(5年超)」との関連は?と“よくわからない”ことが、多いように感じます。今回は、この「雇止め法理」について整理・まとめを行ってみました。
◆「雇止め法理」の「制定法化」とは?
第180回通常国会で、改正労働契約法が成立し2012年8月10日に公布されました。改正法施行の先頭を切って制定法化された「雇止め法理」は、公布日と同日より施行となっています。
そもそも、「雇止め法理」とは何だろうか? それが「制定法化」されたとはどういったことなのでしょう?
以下に、言葉を分解し、考えてみると・・・。
「雇止め」・・・“有期”労働契約(一定の契約期間を定めて結ぶ労働契約)の場合に、契約期間の満了日をもって、労働契約を終了させるもの。
「法理」・・・裁判による判例の積み重ねによって定まった、ルールのようなもの。
「制定法」・・・文字によって表記された法律
つまり、雇止めの正当性に関して、判例により確立された考え方を、法律に条文化した。ということになります。
よほどのことがない限り、判例を調べ上げて実務を行うことはありません。
“よくわからない”のは当然ともいえます。
◆「雇止め」の正当性に関する“確立された考え方”とは?
そこで、まずは「雇止め」の正当性に関する“確立された考え方”がどういったものか、みてみましょう。
【改正労働契約法第19条】では、今回制定法化された「雇止め法理」の対象となる有期労働契約を、以下のように定めています。
1.過去に反復更新された有期労働契約を雇止めする事が、無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
2.有期労働契約が更新されるものと、労働者が期待することについて合理的な理由があると認められるもの
上記1,2に該当する場合、使用者が有期労働契約の更新の申し出を拒絶しても、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」
と、規定しているのです。⇒該当条文本文はこちら
やはり、よくわかりません。
実務担当者としては、どんな場合に認められないのか、“社会通念上”とか“合理的な理由”などということではなく、明確に「何回更新したら」「何年勤続したら」と、ハッキリ示してもらいたいところだと思います。
しかし、判例を積み重ねて確立された法理であるがゆえに、具体的な基準は示されていないのが現状です。
⇒⇒ 次ページ以降は ⇒⇒
◆雇止めの可否判断は、どのようにされる?
◆有期労働契約適性管理の方向性
◆「無期労働契約への転換(5年超)」にとらわれず、今すぐ再点検が必要
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●文/岸川 宏(きしかわ・ひろし)
アイデム人と仕事研究所
【担当分野】労働関連法。賃金統計・アンケート調査等の作成、分析。[社会保険労務士]
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