人材育成や評価、意思決定など、マネジャーにはさまざまな役割が求められます。マネジャーに必要な視点や考え方、心の持ち方などについて考察します。(2021年5月20日)
いつの世でも言われてきた「最近の若者は…」
毎年4月は新入社員研修を担当することが多いのですが、最近の新入社員の傾向で特徴的なのは、
・安定志向が強い
・出るくいにならない傾向が強い(よくも悪くも目立つことを嫌う)
・それでいて、承認欲求だけは強い
・自分基準で相手の意図がくみ取れない
・受け身で、言われたことは素直にやる
などです。
「ゆとり世代」とも言われ、競争や順位付けに対する意識が薄く、プレッシャーに弱いということも特徴で、IT環境の普及により、直接的なコミュニケーションの量が減少した世代だという評価もなされています。各企業の人事担当者の方からも「素直なんだけど、どこか物足りなくて…」という声が聞こえてきており、それはそれで分かる気もします。
では、以下の「特徴と指導法」をご覧ください。
■特色
・過保護に育つ(しつけがダメ) ・飢えを知らない(豊かな時代) ・ながら族(多能人間)
・飽きっぽい ・指示待ち族(仕事は受身) ・新人類語を使う(仲間はずれを怖がる)
・長電話(感性的な会話) ・エレクトロニクスに強い(物おじしない)
■指導法
・理由をよく説明し、納得させる ・時には突き放す ・共にやってみる
・責任を持たせる ・相互啓発で伸ばす ・価値観を押し付けない
実は、これは1987年に出版された「OJT実践百科(鎌田 勝著/PHP研究所)」という本の中に出てくる「新人類の特徴と指導法」の一節です。「エレクトロニクスに強い」という表現には時代を感じさせますが(苦笑)、全体的には、最近の若者にも当てはまるものばかりですよね。
1987年に新卒で社会人になった「新人類」世代は、今では55歳前後の人たちで、企業なら部長クラスの人たちです。いかにも「最近の若者は、どうも過保護だな」と言いそうな人たちですが、彼らもまったく同じことを言われてきたということです。
発掘された古代エジプトの象形文字を解読したら、「最近の若者はけしからん」という意味だったという笑い話がありますが、上の世代が下の世代を批判するのは、世の常ということでもあります。「世代間ギャップ」は、意外に思い込みが多かったりもするので、先入観には要注意ということかもしれません。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。