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ココロの座標/河田俊男

第72回「在宅勤務で燃え尽き症候群に」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2022年3月17日)

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 収益を上げなければ企業は存続できない。それはコロナ禍でも変わらない。働く人たちは成果を求められるが、先の見えない状況で精神のバランスを崩す人もいる。

 

 

トイレで泣く男

 

 輝明は自宅のワンルームマンションで、在宅勤務をしていた。家で仕事をするために、ベッドを捨てて小さな机を買った。パソコンも購入し、家で仕事をする環境を整えたが経済的に負担だった。辞めたくなったが「会社も大変なんだ」と思い、自分を鼓舞して働いた。

 

 やがて、狭い自宅での仕事で気が滅入るようになった。夜はなかなか眠れず、疲れが抜けなくなってきた。そんなある日、無性に泣きたくなった。トイレで泣くと少しすっきりした。だんだん泣く頻度が多くなり、輝明は限界を感じるようになった。

 

 

 

 

妻を殴る夫

 

 真人は朝食をとっているとき、反射的に妻を殴ってしまった。食べる音が気になったからだが、どうして手が出たのか、自分でも分からなかった。実は、在宅勤務をするようになってから、音に過敏になっていた。

 

 妻はよくテレビを見ていた。テレビの音や見ながら笑う声、ポテトチップなどを食べる音が耳にさわり、イライラしていた。がまんできなくなると、ベランダに出て外を眺めるのが唯一の気分転換だった。
 そんなある日、真人は自分の感情が麻痺していることに気づいた。何をしても面白いと感じず、笑うことも、怒ることも少なくなってきた。限界を感じ、逃げ出したいと思った。

 

 

区切りをつけにくい

 

 在宅勤務はプライベートと仕事の区切りをつけることが難しく、長時間労働になりやすい。コロナ前は会社のオフィスで誰かと雑談をしたり、休憩をしたり、帰りに同僚と飲食店で食事をしたり、酒を飲むこともできた。だが、在宅勤務では気分転換がしづらい。また、家には自分しかいないので、1人で仕事をしなければならなかった。オフィスで仕事をしていたときのように、気軽に近くにいる人に相談をしたり、助けてもらうことができない。

 

 育児や家事との両立も、以前よりも難しい面があった。家で仕事をしているからと言って、同時に家事や育児はできない。夫婦の場合、そのことをパートナーが理解できないと不仲の原因にもなる。ストレスが複雑に絡み合い、真人の場合は妻に手をあげるという形で暴発したと言える。

 

 

「やりすぎ」から脱出する

 

 輝明や真人にとって、仕事の「やりすぎ」から脱出することは困難だった。彼らは自分が慢性的に睡眠や休養が不足しており、気分転換ができていないことに気づいていなかった。それは心に余裕のない状態でもある。いつか、大きな失敗や事故を起こさないとも限らない。

 

 例えば、旅客機を操縦する機長がそんな状態だったら、飛行機を墜落させてしまうかもしれない。「やりすぎ」の精神状態は、それほど危険なことなのだ。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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