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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

パワハラ上司の言動は、雇い主である会社の責任も問われる〜S社事件(東京地裁平成26年7月31日判決、労判1107号55頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2022年4月26日公開)

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【事案の概要】

 原告の従業員は上司の指示に従わなかったり、ミスが見られたりしたことから、上司から「新入社員以下だ。もう任せられない」「何で分からない。おまえは馬鹿」などと言われてしまいました。納期が迫る中、上司からの注意指導の回数が増え、注意指導の程度も厳しいものになっていったため、原告は精神的に追い込まれ、ついにはうつ病の診断を受けました。そこで原告は上司にうつ病の診断書を提出し、休職を願い出ました。

 

 しかし上司はこれを取り合わず、休養するのであれば有給休暇にしてほしい、別の部署に異動させてあげるつもりだったが休むのであれば異動はなかったことにする、などと発言しました。
 原告は、上司の発言や診断書を棚上げにしたことが違法なパワーハラスメントに当たるとして、上司と会社などを相手に、損害賠償請求の訴えを起こしました。

 

 

 

 

【裁判所の判断】

 裁判所は、上司の「新入社員以下だ。もう任せられない」「何で分からない。おまえは馬鹿」という発言は、注意指導として行われたものであり、嫌がらせの意図ではなかったとしましたが、発言は原告に屈辱を与え、心理的負担を過度に加える行為であるなどとして、違法と判断しました。

 

 また、診断書を棚上げにしたことも、原告の休職の申し出を阻害するものであり、上司として配慮を欠く言動であるとして違法としました。結論として、上司と会社に対して連帯して約300万円の損害賠償をするよう命じました。

 

 

【解説】
 本件の原告は、上司からの改善指示にもかかわらず、これに取り組まなかったり、他部署から勤務態度に問題があるので改善指導してほしいと要望されたりしており、勤務態度に問題があったようです。上司としても、納期が迫り、忙しい中で、原告のミスにより余計に時間がかかってしまったこともあったようですので、ついイライラしてしまったのかもしれません。そのような中でつい「新入社員以下だ。もう任せられない」と言いたくなってしまったのでしょう。

 

これがパワハラになるの?

 

 本件の裁判所の判断を見て、厳し過ぎるのではないか、これがパワハラと言われてしまうと指導できなくなってしまうと思う方もいるかもしれません。確かに本件の事案は、他の従業員がいる中で長時間立たせたまま大声で人格を否定する言動をしたり、ののしりながら叱責するような典型的なパワハラではありませんし、上司の発言の目的も指導目的でした。しかし、職場においてパワハラが起こらないようにするためには、以下のような点に気をつける必要があると思います。

 

 

>>>次ページにつづく

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につづく

 


●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/

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