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個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2023年1月12日)
60時間にカウントされる時間外労働時間とは
これまで時間外労働の上限規制について確認してきましたが、次に「労働時間」など細かい部分を確認していきます。
労働基準法第32条で定める労働時間は「法定労働時間」といい、原則として1日8時間・1週40時間以内と定められています。一方、会社が就業規則などで定める労働時間は「所定労働時間」といい、法定労働時間を超えない範囲で会社が異なる定めをすることができます。
例えば、会社の所定労働時間が7時間で、週5日毎日1時間の残業をしたとすると週40時間労働したことになりますが、この1日1時間・1週5時間分は、会社の残業時間であっても、法律上の法定時間外労働には該当しません。
なお、残業時間分の労働についての賃金の算定基準を、「所定労働時間」を超える時間とするか、「法定労働時間」を超える時間とするかは、労使の定めによって決まります。
同様に休日についても、会社で定める「所定休日」と労働基準法第35条で定める「法定休日」があります。労働基準法では、「使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」とされており、この1週間につき1日の休日を「法定休日」といいます。
例えば、毎週土曜日・日曜日を所定休日、そのうち日曜日を法定休日と定めている会社であれば、土曜日に労働した時間は「所定休日労働」、日曜日に労働した時間が「法定休日労働」となります。
法定時間外労働に対する割増賃金は、60時間までは通常の賃金の25%以上、60時間を超えた場合には通常の賃金の50%以上です。
割増賃金には時間外労働に対するもののほか、法定休日労働に対するものと深夜業(午後10時から翌日午前5時までの間の労働)に対するものがあります。法定休日労働に対する割増賃金は通常の賃金の35%以上、深夜業に対する割増賃金は通常の賃金の25%以上です。
さらに割増賃金は重複して発生することがあり、時間外労働が深夜業となった場合の割増賃金は通常の賃金の50%以上(60時間超の法定時間外労働の場合は75%以上)、法定休日労働が深夜業となった場合の割増賃金は通常の賃金の60%以上となります。
なお、法定休日には法定労働時間というものが存在しませんので、法定休日に労働をさせた場合は時間外労働に対する割増賃金は発生しません。
そのため、月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、所定休日に行った法定時間外労働は含まれます。
※厚生労働省リーフレットより抜粋
●文/小杉雅和(こすぎ まさかず)
東日本事業本部 データリサーチチーム所属/社会保険労務士
大学卒業後、大手運輸会社に入社し、営業事務職に従事。その後、労働保険事務組合にて、労働・社会保険の各種手続き、相談業務に従事した。1998年、株式会社アイデムに入社。「パートタイマーの募集時時給表」等の賃金統計や「パートタイマー白書」等のアンケート調査を手がける。現在は労働市場に関する情報提供、各種アンケート調査の作成・分析を主に担当。
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