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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

会社が解雇したのか、自分で辞めたのか?〜B社事件(東京地裁H26.1.17判決、労判1092号98頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2023年7月24日)

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【事案の概要】
 本件は、会社の発言が「解雇の意思表示にあたるか」、従業員が「自ら退職したのか」が問題となった事案です。

 被告会社は、ファンド事業等を目的とする株式会社であり、ファンド事業による集団スキーム持分の募集及び運用、各種デリバティブ取引、国内外有価証券その他金融資産に対する投資業務に対する運用、管理及び募集営業を行っています。
 原告は被告との間で雇用契約を締結し、営業に従事してきました。原告は他の営業社員と同様に、主として電話を用いた営業活動を行っていましたが、1カ月を経過しても新規の契約を獲得できませんでした。





 平成24年3月6日、原告が業務に従事していたところ、被告代表者から呼び出されました。そこでどのようなやり取りがあったのか、両者の主張は食い違っています。
 原告の主張は、被告代表者から入社して1カ月以上たっても全く契約を成立させていないことを理由に辞めるよう長時間にわたり迫られたので、原告が「それは解雇ということですか」と聞くと、代表者はうなずいて「そうです」と答えたというものです。

 一方、被告の主張は、原告が従前未公開株を販売する業者にいたとか、反社会的勢力の団体に所属しているといった噂があり、真偽を確認したところ、原告は急に開き直り、「もういいですから、会社都合で退職したことにしてもらえますか?」と言ったというものです。そして代表者が「退職するということか?」と問いただしたところ、原告は「そうだ」と答えたとのことです。


【裁判所の判断】
 裁判所は、以下のように述べて本件は「解雇に当たる」としました。
 まず、原告が退職の翌々日にハローワークを訪れ、被告から解雇された旨述べる等、退職直後から一貫して被告から即日解雇されたこと、及び解雇理由が成績不良である旨を述べていることを理由として挙げています。

 一方、被告は前述のように原告の噂の点を主張し、「自ら退職した」と主張していましたが、裁判所は噂のような事実は認められないとし、原告が直ちに「退職しなければならない事情がない」としました。

 また、原告が助成金制度(採用後6カ月以上の継続雇用が要件)を利用しており、原告の年齢(58歳)から「再就職が容易ではない」ことからすると、原告としては、できる限り長く被告会社で雇用されることを望んでいたものと認めるのが相当としました。にもかかわらず、入社後1カ月半余りで自ら退職する合理的な理由は見られないとしました。

 裁判所はこのように述べて本件は「解雇に当たる」とし、結論として「解雇は無効」と判断しました。
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につづく


●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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