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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

リハビリ勤務の賃金をどうするか?〜N事件(名古屋高裁H30.6.26判決、労判1189号51頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2023年8月29日)

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 7月28日、厚生労働省の中央最低賃金審議会で最低賃金の目安を全国平均1,002円とすることが示され、最低賃金が初めて1,000円を超えました※。平均41円アップは過去最高となります。使用者は労働者に対して最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。たとえ労働契約で最低賃金を下回る賃金を定めたとしても、その部分は無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最低賃金法5条)。

 経営者もだいたい最低賃金については意識しているため、最低賃金の支払いが争点となる裁判例はそれほど多いわけではありません。ただ、歩合給を含む賃金体系で「最低賃金の支払いがなされているか?」が争点となったり、本件のように、そもそも労基法の定める「労働や労働者に当たるかどうか?」が争点になることはあります。





【事案の概要】
 本件は、メンタル疾患による休職中に行われたリハビリ勤務中の賃金の支払い等が問題となった裁判例です。当該労働者と使用者の合意でリハビリ勤務中は無給とされましたが、この点について「支払義務があるかどうか」が争われました。

 復職可否を判断するためのリハビリ勤務では、通常、開始日から徐々に作業時間や作業内容が増大していくスケジュールが組まれます。本件でも同様のスケジュールが組まれており、全24週のうち13週目からはフルタイムとなっていました。


【裁判所の判断】
 裁判所は前提として、労働者の提供する作業内容が本来の労務提供に当たらない程度にとどまる限り、使用者も本来の賃金を「支払う義務を負わない」としました。しかしながら、リハビリ勤務中の作業が「本来の業務より軽易である」からといって賃金請求権が発生しないとはいえず、作業が使用者の指示に従って行われ、成果を使用者が享受しているような場合等には、使用者の指揮監督下に行われた労基法11条の「労働」に該当し、無給の合意があっても「最低賃金の支払いをする必要がある」としました。

 その上で、本件のリハビリ勤務中の賃金について、労働者側の本来の賃金の支払いを求める請求は退けました。理由は、フルタイムとなった週以降も含めて負担の軽い作業だったことなどを踏まえ、本来の賃金に相当する対価に見合う「労務提供をしたとは認められない」としました。

 一方、休職者が上司である部長の指示に従って作業を行い、その成果を使用者が享受しており、リハビリ勤務の時間は「使用者の指揮監督下にあったと見られる」としました。そのため、この時間は労基法11条の規定する「労働」に従事していたものであり、無給の合意があっても「最低賃金を支払う必要がある」としました。
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につづく


●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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