日本経済新聞社によると主要企業の大卒内定者(2024年春入社)が2023年春の入社数に比べ7.4%増というニュース。昨今の人材不足を反映して、新卒採用も各企業の競争が激しくなってきているようです。
当社も人材サービス業で、新卒採用についてのサービスはもちろん、入社後の人材の教育事業も行っています。当然、社会人としての“導入”を図る新入社員研修も行っています。その中にはビジネスマナーの教育は欠かせない教育項目です。
従業員の髪色、ネイル、自由です
先日、首都圏135店舗を展開するスーパーマーケットの取り組みが話題になりました(まいどなニュース)。若者、外国人も多く、「多様性」「個性」を尊重して身だしなみ基準を大きく見直したとのこと。前提条件は「常に衛生的かつ清潔であり、お客様に不快感や恐怖感を与えないこと。作業性と安全性を考慮し、業務に支障を与えないこと」だそうです。
当初、お客様からの批判もあったようですが、不安視する声は少なくなり、接客に対するお褒めの言葉もでるようになったとのことです。
個々を尊重する→モチベーション向上→接客力の向上という図式。
さらに、思わぬ効果として採用にも好影響が生じているようで、今のビジネスマナーに堅苦しさを感じている方が多くいることがわかります。今までの慣習にとらわれず本当に必要なものにだけをルール化し、サービスの本質を引き出した素晴らしい事例だと思います。
ビジネスマナーのとらえ方
当社においてもあらためて「ビジネスマナー」を見直すための調査を始めています。以下は、『ビジネスマナーに関する調査』として18〜60歳で正社員として働く600名にアンケート調査を実施した結果です(※年代は均等に配分)。
「ビジネスマナーはどんなものだと考えるのか」について聞いたところ、全体では「相手に不快な思いをさせないように気を付ける心配り」36.2%が最も多くの回答を集めました。
年代別にみると捉え方は様々ですが、30代を境にビジネスマナーのとらえかたの向きが「自分」か「他者」というようにも見えてきます。
<20代・30代>
20代、30代は「自分が恥をかかないよう身につけるもの」、「自分が信頼を獲得するためのもの」という回答が多くベクトルが自分にある傾向。
<40代・50代以上>
40代、50代以上は「相手に不快な思いをさせないように気を付ける心配り」「誰かと仕事をするとき、より円滑に事を進めるために身につけるもの」と回答が多く、ベクトルが相手に向かっている傾向。
<慣習×当然の行い>
また一方、20代、30代では、「古くからある慣習」という回答が40代、50代以上よりも多い傾向にあり、「社会人として当然の行い」という回答は40代、50代以上の方が強い傾向にあります。
●文/岸川宏(きしかわ ひろし)
株式会社アイデム 東日本事業本部 マネージャー(キャリア開発支援チーム/データリサーチチーム)、社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。1999年、株式会社アイデムに入社。賃金データの調査分析、労使関係に関する意識調査等、労働環境の実態に迫る情報提供に従事。採用時だけではなく、採用後の人材の定着、育成、戦力化と、人的戦力確保のための環境づくりに資する総合的な情報の提供に努めている。