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人材育成のツボ

研修の効果測定に、受講者アンケートは意味がない？

アイデムの人材育成・研修部門の担当者が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづります。（2025年4月10日）

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研修効果を高めるためにできること

　ところで、研修の効果を高めるためには、研修の内容、進め方、講師の選定など、研修そのものにスポットを当てるだけでいいのでしょうか？ 決してそうではないと思います。

　ここで、「4:2:4の法則」をご紹介します。この法則は、2007年にアメリカのウエストミシガン大学　ロバート・ブリンカーホフ教授が発表しました。効果のない研修の原因は、4割は研修前、2割が研修内容、残り4割は研修後にあると示しました。一般的には研修内容そのものにとらわれがちですが、研修前と後で8割を占めているというものです。





　それでは、研修前、研修後に何ができるのか、何をすべきなのでしょうか。私が特に重要だと思うことに絞り書かせていただきます。キーマンは「直属の上司」です。

　まず研修前については2点あります。
　1点目は、直属の上司から受講者へ、何のために研修を受講するのか、どんな学びを得てほしいのかを、期待感をもって伝えておくことです。これが最も大事です。研修に参加することに対して後ろ向きである、または何のために参加するのか自覚していないなど、学ぶ準備ができていない場合、能動的に気づきを得ることができない可能性が高いからです。

　2点目は、研修で学ぶ内容に関連した内容で、自身の課題は何なのかを自覚できる、あるいは研修内容を習得するうえで必要な予備知識を得るための事前課題を実施することです。後者は私たち研修を提供する側の仕事ですが、前者は社内でしかできないことです。

　続いて研修後について重要なことは、学びを活かす環境を作ることです。そのためには、受講者から直属の上司へ学びを報告し、どのように業務で活かすかを具体的に宣言します。また、報告を受けた上司は、宣言通りの行動を起こし継続しているかを注視することが必要です。

　冒頭の事例も、このような地道な努力を社内で実践された結果だと確信しています。成功のカギは「直属の上司」の協力です。


●文／松嶋清和（まつしま きよかず）
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部キャリア開発支援チーム／人材育成・研修プランナー
特定社会保険労務士、メンタルヘルス・マネジメント検定�擬�
大学卒業後、大手アパレル商社に勤務、全国の小売店との相談・折衝業務に従事する。その後1998年に株式会社アイデムに入社してからは、13年間に延べ3,000社以上の経営者・人事担当者らと面談。求人広告の営業担当として、採用および人材活用に関する提案を続けてきた。2010年11月以降は同社「キャリア開発支援チーム」にて、採用後の人材育成、教育・研修に特化した企画提案を行っている。
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