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労働ニュースに思うこと

法的リスクはあるの? 企業がスポットワークを活用するときの留意点

個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2025年6月5日)

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急速に拡大したスポットワーク

 人手不足が深刻化する中、企業の現場では「スポットワーク」を活用するケースが増えています。

 スポットワークとは、労働者が短時間・単発で働く就業形態のことです。企業と労働者が継続した雇用関係を結ばない働き方で、「スキマバイト」とも呼ばれています。スマートフォンの普及で2010年代後半から仲介事業者によるサービス提供が広がり、コロナ禍を機に急増しました。求人媒体を経由せず、仲介事業者のアプリ等のプラットフォームですぐに人を募集できるので、飲食業・物流・小売業など、人が足りていなかったり、繁閑の波があったりする業態を中心に急速に浸透しています。

 また、柔軟な働き方を求める労働者ニーズとも合致し、若年層や副業・兼業希望者を中心に需要が高まっていますが、その一方で、雇用関係の不明瞭さや法令順守の観点から「グレーゾーン」と言われる場面も目立ち始めています。





法的な位置づけ

 スポットワークは法律上明確に定義されていませんが、1日単位で契約する点で「日雇い労働※」と重なる部分があります。労働基準法上、たとえ短時間・単発の契約であっても指揮命令下で働く場合は「労働者」に該当し、最低賃金、労働時間、割増賃金などの法的保護の対象になります。また、賃金の支払い期日や労働条件などの明示義務も発生します。

※日雇い労働
事業主と1日単位や短期間(30日以内)で雇用契約を結ぶ労働形態。雇用保険法では、日々雇用される者や30日以内の期間を定めて雇用される者を日雇労働者と定義しています。日雇いで働く方には特別の雇用保険があります。

 スポットワークの法的な面での最大のポイントは、勤務先企業の直接雇用であることです。比較対象としてよくあげられる「日雇い派遣」は、派遣会社の雇用です。ちなみに日雇い派遣は2012年の法改正以降、原則禁止されています。例外的に対象者(60歳以上、学生など)や業務内容(港湾運送業、建設業、警備業など)を限定して認められています。


見過ごされがちな法的リスク

 店舗責任者や現場マネジャーが法的理解を持たずにスポットワーカーを扱うことで、意図せぬ法令違反につながるリスクがあります。あるいは、法の抜け道として悪用されている実態も見られます。例えば、契約書を取り交わさずに「業務委託」と称して働かせ、社会保険や雇用保険の適用を避けるケース。形式上は業務委託でも、実際に業務内容や勤務時間の指示があれば「労働者性」が認められ、企業に労務管理責任が生じます(いわゆる「偽装請負」の問題)。

 また、スポットワーカーが複数の企業で働いている場合、週40時間を超える勤務になっているにもかかわらず、各企業が個別対応していることで割増賃金の支払いが漏れるというケースもあります。こうした実態が訴訟や行政指導に発展すれば、企業イメージや信頼性にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
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●文/石井隆介(いしい りゅうすけ)
社会保険労務士法人湘南経営パートナーズ代表。社会保険労務士。中央大学商学部卒業後、信用金庫、労働金庫、金融機関一筋に15年勤務。主に中小企業の融資、退職者向けの個人の資産運用(個人年金、投資信託、国債)の営業、年金相談担当として長年業務を経験する。2017年社会保険労務士合格・登録。社労士事務所勤務を経て、2021年5月独立開業。現在、『労務トラブル再発予防の5つのステップ』をベースに中小企業の労務管理をサポート。専門誌への寄稿、セミナーの登壇なども行っている。
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