採用面接で、応募者の中から「自社に合った人をどう見極めるか?」について、実践的な方法や企業が考えておかなければならないポイントを解説します。(2026年10月29日)
途中で「合わない」と思っても
応募者と話しているうちに「この方はうちには合わないな」と思うことがあります。それでも、面接時間はきっちり使いましょう。時間を作り、交通費をかけて来てくれた人を早々に帰すのは、面接の技術以前の礼儀の問題です。聞くことがなくなったら、応募者からの質問の時間を多めに取ればよいと思います。質問に答えるのは質問するより楽ですし、答えているうちに新しい事実が分かって、評価が変わることもあります。
終わり方も大切です。人は最後の印象で全体の印象を決めやすいものです。最後に質問の時間をきちんと取ることで、「自分にも発言の機会があった」という公平感が生まれます。さらに、面接を通じて分かったその人の持ち味が「自社とどう合いそうか」を一言伝えると、「自分の話が伝わった」という実感が残り、印象はぐっとよくなります。
オンライン面接で注意したいこと
コロナ以降普及して一般的になったオンライン面接で多くの方が困るのは、会話のキャッチボールがやりにくいことです。目線が合わない、表情が読みにくい、発言のタイミングがかぶる。この小さなずれがストレスになり、評価にまで影響します。
対策は、無理にキャッチボールをしないことです。聞きたいことを事前に伝えて、まとまった時間で話してもらう「プレゼンテーション型」にします。ただし「学生時代に力を入れたことを教えてください」のような曖昧な聞き方では、欲しい情報は出てきません。「一番困難だった経験について、どんな環境で、何が原因で、どんな対策を考え、何を実行し、どうなったか?」と細かく指定します。「事前に教えると対策されるのでは?」と心配する方もいますが、事実を聞く面接なら、準備してもらうことはマイナスになりません。むしろ評価をするための情報が増えるだけです。
もう1つ、オンラインでは表情や声の調子といった言葉以外の情報が届きにくく、会社の雰囲気や熱意が伝わりにくいです。相手が職場に来てくれれば若手社員に会わせるだけで伝わることが、言葉だけだと、どこか空々しくなる。口説く場面では、多少無理をしてでも直接会う機会を作ることには価値があります。
最後に1つ。「この会社に入りたくない」と思った理由の調査で常に上位に来るのは、「面接担当者の印象が悪かった」です。仕事内容や待遇より上です。面接担当者は評価する側であると同時に、評価される側でもあります。この意識だけで、接し方はずいぶん変わるはずです。
●文/曽和利光(そわ としみつ)
株式会社人材研究所代表、人事コンサルタント
大学卒業後、リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスなど、さまざまな企業で採用や人事、組織開発の責任者を務める。2011年、人事コンサルティング会社、株式会社人材研究所を創業。大手から中小、外資系、ベンチャー、官公庁など、多くの組織に向けて人事や採用のコンサルティング・研修・講演を行っている。著書に『採用に強くなる』(日経文庫)、『人材の適切な見極めと獲得を成功させる採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など多数。