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人材育成のツボ

中途採用者研修のすすめ

アイデム人と仕事研究所の研修部門の所員が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづる「人材育成のツボ」。今回は“中途採用者研修のすすめ”です。

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 中途採用社員を採用する企業のほとんどは、即戦力としてこれまで培ってきた能力と経験を発揮し、自社の発展に寄与してほしいという期待をもっています。
 しかし、能力や経験を期待したように発揮できず、なかなか戦力とならない中途採用者が時折いるということをお聞きします。


 多くの場合原因は、「採用直後すぐに発揮すべき能力や経験は何か」を理解せず、せっかく持っている能力を表に出せないこと。あるいは、逆に、求められていないことに力を発揮しようとしてしまうことにあるようです。また前職の経験から離れきれず、新しい職場での仕事の進め方になじめなかったり、人間関係づくりがうまくできなかったりといったケースもあります。
 学卒の新人と違い、中途入社の社員には、経験者であり即戦力としての期待がかかることは間違いありません。


 一方、“新人”であることも変わりありません。ところが、多くの企業で「経験者なのだから」という観点から、入社直後に十分な意識付けが行なわれていないというのが現状のようです。
入社当初に“必要な導入”を行うことは、身につけてきたスキルや、貴重な経験の発揮を早期化(=即戦力化)することに、つながります。

 
 では、「“必要な導入”とは何なのでしょう?」。そのポイントについてお伝えします。
 中途採用は、退職者の補充、業務拡張のために必要な人材の確保、などといったことを目的に行われます。その際は、「マネジメントのできる人」「○○の経験がある人」「△△のスキルを持った人」といったように、採用する人材に求める能力・経験がはっきり決まっていることがほとんどです。そしてその求められる能力は、多くの場合、採用後に配属する部署で必要となる、専門性がかなり高い能力です。


 採用後できるだけ短期間で能力発揮をしてもらうためには、この専門性以外に、“仕事を進める上で必要となるスキル”を保持していることが望まれます。転職前のA社と転職後のB社で、“仕事を進める上で必要となるスキル”がまったく異なっているということは、なかなかありえないことです。A社で身につけたスキルには、B社でも役立つものが多くあります。
 B社が中途採用を行なう理由の一つは、前職のA社で教育され身についているスキルを、発揮してもらおうというものです。
 このA社、B社のどちらでも発揮できる“仕事を進める上で必要なスキル”を、ポータブル・スキルと言います。前職でのスキルを“持ち運ぶ”というイメージです。


 中途採用の目的の一つであるポータブル・スキルとは、例えば、名刺交換、来客応対といったビジネスマナーから、CS意識や問題解決といった、仕事を進める上の基本的な考え方など。新卒採用なら1から教えなければならない、どの企業でも求められる“仕事を進める上で必要となる”スキルのことです。

 

 

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●文/吉野秀一(よしのしゅういち)
アイデム人と仕事研究所 研修プランナー。

法人向け営業担当、学習塾経営、河合塾国際教育センター常勤講師(中華民国対外貿易発展協会に出向。対日貿易人材養成を担当)を経て現在、アイデム人と仕事研究所にて就職セミナー、キャリアカウンセリング、新入社員研修などの講師、また多くの企業の人事担当者と面談し、採用と育成についての企画・提案を担当。採用側、求職者側両者の視点での面接と採用に関する講演も数多い。
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