エキスパート直伝! 社員の「接客力」を高める3冊
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
こんにちは、土井英司です。このコーナーでは、毎回テーマを決めて1テーマにつき3冊の関連書をご紹介しています。 今月は、社員の「接客力」を高めるためのおすすめ本3冊をご紹介します。心構えから人の心を動かすテクニックまで、接客・セールスの達人から学べる、とっておきの3冊をご用意しました。
まず1冊目は、卓越した接客技術でルイ・ヴィトンの販売実績 No.1となり、現在は数多くの販売現場で指導する研修講師・鈴木比砂江さんによる『売上が伸びる接客』(かんき出版)。著者が指導したお店のなかには、前年対比723%超のところもあるというから驚きです。
★売上が伸びる接客(鈴木比砂江 著/かんき出版/定価1,404円)
本書には、著者あるいは著者のクライアントが実践し、成功した接客方法がまとめられているのですが、読む限り、そもそもの接客プロセスが違う。未熟な接客の多くは、お客さまの心の準備ができる前に声掛けをしてしまうのですが、本書では、<「お店に足を止めてもらうこと」を目的に>、まずは足を止めてもらい、次に信頼関係を築き、そして商品を紹介するという、ステップバイステップの接客方法が説かれています。
実際の現場で直面する、「なぜか売れない」「逃げられた」などというシチュエーションでも買ってもらえる接客テクニックが示されており、読み応え抜群です。「何をお探しですか?」では反応の悪かったお客さまも、「お下見ですか?」なら思わず「はい」と言ってくれるなど、目からウロコの接客方法が紹介されています。
なかでも学びになったのは。お客さまに質問されたとき、「プラス1の情報」を心掛けるという教え。これは、お客さまからの1つの質問に対し、回答+新たな情報1つを提供しましょう、というもので、例えばハンドクリームを売っているなら、お客さまに「これって何のにおいですか?」と聞かれたら、「バラのにおいです」で終わるのではなく、そこに、「リラックス効果もあるんですよ」と加える。小さなことですが、こんな積み重ねが、売上を作り、現場の雰囲気も良くする。ぜひ読んでおきたい1冊です。
続いてご紹介するのは、生命保険の世界でMDRT(Million Dollar Round Table)に18年連続で登録し、現在、営業マンや販売員にセミナーやコンサルティングを行っている著者、井上健哉さんが書いた、『売れる販売員の全技術』(かんき出版)。販売員が知っておくべき原理原則と、売るための小さなテクニックが計100個紹介されています。
★売れる販売員の全技術(井上健哉 著/かんき出版/定価1,512円)
営業で使えるさまざまなテクニックが紹介されていますが、なかでも店舗での接客技術が多く紹介されており、小売企業には有用です。
開店直後と閉店間際に入店されたお客さまを邪魔者あつかいしない、照明や空調で「歓迎ムード」を醸し出す、カップルが来店したときに男性客に椅子を勧める、入口でお客さまを出迎えるスタッフこそ、経験を積んだベテランを配置すべきなど、意外にできていない店舗が多いのではないでしょうか。
※次ページ以降の閲覧には、会員登録(無料)が必要です
●土井英司(どい えいじ)出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。http://eliesbook.co.jp/bbm
この記事のキーワード
クリックすることで関連する記事・データを一覧で表示することができます。
一覧ページへ戻る
その他のコラム記事を見る