株式会社ふらここ/子育て世代の女性が働きやすい仕組みづくりを推進
人材育成や働きやすい職場環境の実現などを目的した、組織活性化のための制度事例を紹介します。
「当社のひな人形は、購入者のほぼ100%が若いお母さんです。ですから、その層のニーズをくみ取るためにも、女性の活躍推進は必然でした」 こう言うのは、ひな人形や五月人形を作る株式会社ふらここの代表、原英洋さんだ。ふらこことは、雅語でブランコのことだという。原さんは2008年に家業だった老舗人形店を辞め、独立した。祖父は人間国宝にも指定された人形師の原米洲氏で、母親も人形作家という一家だった。
「人形業界というのは伝統産業で、かつては祖父母の贈り物としての消費が中心でした。しかし、10年ほど前から母親が自分の子供のために選ぶ傾向になってきていました。住宅事情も変わっているので、祖父母が孫に贈ったひな人形が飾る場所がないからとキャンセルされることも起きてきたのです。そうして次第に、大きいひな壇のある伝統的なひな人形ではなく、小さくて飾り付けが簡単なかわいいひな人形が求められるようになっていきました」
原社長。手のひらサイズがふらここの人形の特徴だ
しかし、そういった市場の変化にも人形業界は変わっていかなった。「製造と販売が完全に分離していて、職人は作ったらそれでおしまい。職人に消費者の声を届けようとしても、『迎合するのか』と反発されました。しかし、それでは若いお母さん世代が欲しい人形は提供できない。つまり、これからの成長が望めないわけです。これからは、製造と販売を一体化させ、若い層のニーズに応える人形作りをしていかないとダメだと思うようになりました」
そこで立ち上げたのが「ふらここ」だった。独立したとき、家族間でのトラブルはなかったという。「妹も働いていたので、家業を引き継いでくれました。今でも行き来しています」
女性を中心とした組織づくり
若い母親世代のニーズをくみ取るために必要なのは、同世代の母親だ。「創業して人を採用するとき、母親世代に一番近い年齢の女性に来てもらいたいと30代後半の女性を2名採用しました。しかし、子育て世代は時間的な制約もあるので、なかなかフルタイムで働くことが難しいし、急に休むこともある。そこで20代の独身女性も採用するようになりました」
そして女性を中心にした組織づくりをしていくことになった。「女性中心の組織で一番気をつけなければならないのは、男性社会で当然とされてきた仕組みを当てはめるのではなく、女性に合う制度を作らなければならないことをきちんと理解することですね。具体的には結婚、子育て、介護を前提にした体制づくりをしなければならないということです」
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●株式会社ふらここ所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-6-5 丸彦ビル2階設立:2008年4月資本金:500万円売上高:2億1,913万円(2014年度)従業員:12人事業内容:節句人形の製造販売、盆提灯販売ホームページ/ http://www.furacoco.ne.jp/
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