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ココロの座標/河田俊男

第43回「苦渋の決断」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2019年10月24日)

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 人生には、苦しくつらい思いをして決断しなければならないことがある。その決断でよかったのかどうか、後から評価することは難しい。

 

 

延命か、出産か

 

 結婚して半年になる玲奈は、夫が仕事に行くのを見送ってから、自分も働きに出る。夢にまで見た新婚生活だ。そんなある日、体調不良が続いていたので、病院で診てもらうことになった。検査の結果、進行性のがんが見つかり、余命1年を宣告された。

 

 妊娠していた玲奈は、顔面蒼白になった。治療と出産のどちらを優先するべきか、分からなかった。抗がん治療は胎児への影響が心配される。夫にも相談し、最終的に玲奈自身が決めることになり、悩んだ末、子供を優先した。子供をあきらめて少しでも延命するか、余命が短くなっても子供を生むか、苦渋の決断だった。その後、玲奈は元気な男の子を生み、出産から1カ月後に亡くなった。

 

 

 

 

 

上司のパワハラで退職

 

 ここ数年、武史はうつ病で会社を休んだり、復職を繰り返していた。原因は上司のパワーハラスメントだ。「今までよくそんな仕事していたな、ウスノロなんだよ」「どれだけ馬鹿なんだ。仕事のやり方も分からないのか」など、ひどい暴言を吐かれ続けた。武史は今までそうした言葉を言われたことがなく、免疫がなかった。ストレスは大きく、夜も眠れず、うつ病と診断されるほど悪化した。

 

 医師には「会社を辞めたほうがいい」と言われた。悩んだ末、辞める決心をした。しばらく自宅で療養してから、就職活動を始めた。ところが、なかなか仕事が決まらなかった。会社を辞めて数年が過ぎ、生活資金も底をついてきた。武史は生きる気力を失い、自殺することばかり考えている。

 

 

問題は何か?

 

 人生は決断の連続だ。起きてから眠りにつくまで、あらゆる場面で決断している。勤務している会社に行くことも、同僚と飲みに行くことも決断だ。その決断に、葛藤や迷いはないだろうか。もし、迷いがあればそこに問題はある。人生は迷い、葛藤し、ある決断をする。つまり、どう迷い、どう葛藤したかが、決断の質を決めることになる。

 

 精神療法家のミルトン・エリクソンが「どんな決断であっても、そのとき、その人は最善と思える決断をしている」と言っている。であれば、どんな人も、あとで仮に後悔したとしても最善の決断をしたということなのだ。とても救いのある考え方である。どんな葛藤や迷いがあっても、その結果として出した決断は、最善のものだからだ。だからこそ、問題を生まないためには、よりよく迷い、葛藤する必要がある。決断に良い、悪いはないのだから。

 

 

うつ病特有の思考モデル

 

 うつ病になると、否定的な思考モデルになってしまう。おそらく武史は、「自分は無能だ」「自分は嫌われている」「失敗したらもう先はない」などと考えただろう。そうした思考はすべてうつ病によって、脳がそう考えさせている。まず、それを知ることが大切だ。

 

 否定的に考えたら無理に変えようとせず、「うつ病がそう考えさせている」と自分を客観視してみる。そうでなければ、うつ病の思考モデルで決断してしまうことになるからだ。それは、後悔につながりかねない。武史が会社を辞めたのも、うつ病特有の思考モデルからの決断と言える。また、うつ病になって将来を悲観する思考の影響から、再就職に失敗している可能性も考えられる。

 

 

>>>次ページに続く

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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