「人材の活用」「従業員の教育」「人事制度」等について、事例満載の記事や専門知識が深まるコラム等を展開。自社の活性化や雇用管理のヒントに!
ニュースPickUp
人が育つ会社/田中和彦
【現場に学ぶ】繁盛企業のマネジメント/岡本文宏
気持ちがラクになる1分心理学/吉村園子
伝わる文章の書き方〜報告書からSNSまで〜
事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子
判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊
人事労務関連ワード辞典
マンガ・ワーママ人事課長キノコさん
ココロの座標/河田俊男
【企業に聞く】人が活きる組織
労働ニュースに思うこと
人材育成のツボ
シゴトの風景
「平均時給 の検索」「時給の平均や動向」等について、データを作成。労働市場の現状が分かります。
*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちらアイデム人と仕事研究所では、「ビジネスマナーのブラッシュアップ」「新入社員の戦力化」「職種別・階層別の知識・スキルアップ」等につながるセミナーを開催しています。
メンタルトレーニングの考え方をベースに、ビジネスシーンで沸き起こるさまざまな感情との向き合い方を解説します。(2020年9月3日)
今回は、テレビで大人気の半沢直樹から感情のコントロールを学びたいと思います。半沢直樹の言動を分析してみると、以下の2つの特徴が見えてきます(図1)。
■図1. 2つのキーワード
(1)アナロジー
類推とも言われる推論の方法です。自分がよく知っていることと関連付けることで、問題解決のイメージが広がり、理解を促進したり、新しく広い視点から問題を考えることができます。
例えば中学生に電流、電圧、抵抗の説明をするとします。電気は目に見えず、知識もないため、中学生には理解しにくいです。そこで水を活用します。水の流れは目で見えて、普段から慣れ親しんでいます。電流を水の量、電圧を水流の強さ、抵抗を水車に置き替えて説明します(細野,2009)。すると中学生の理解度は格段に上がります。これがアナロジーです。
半沢直樹は、大学で剣道部に所属していた設定になっています。かなりの剣道の達人と推測できます。彼は、ビジネスのさまざまな問題を剣道に関連付けて考えています。剣道部に所属していた部下に対しても、剣道に置き換えてアドバイスをしているシーンが何回もありました。
自分自身の仕事にアナロジーを使用し、アナロジーを活用して部下を指導する社員は、使用しない社員と比較して、将来管理職として期待されているという報告もあります(楠見,2014)。ビジネスの問題を考える際、アナロジーを使って考えてみると、新しく広い視点で問題を考えることができるかもしれません。
(2)自分の型
半沢直樹は、自分の進退をかけて上司に直談判する前に、部下に対して遺言ともいえるアドバイスをしています。「剣道でいえば自分の型を持て」というセリフです。私は、自分自身の生き方を貫け、ぶれるなという意味だと解釈しました。「大リーグのメンタルトレーニング」の著者であり、野球のメンタルコーチとして多くの日本人大リーガーを指導してきたカリフォルニア州立大学のケン・ラビザ博士は、「自分はどんなタイプのプレイヤーか」を自問自答することを薦めています(ラビザ,1997)。
自分がどんなタイプのプレイヤーかを見失うと、迷いが生じ、プレーに乱れが生じます。常に自分がどんなタイプのプレイヤーか、自分の型を自覚することによって、迷いが消え、プレーに安定感ができてきます。ビジネスの世界でも同じことが言えるのではないかと思います。
※引用文献:
細野美幸(2009)子どもの類推能力の発達―想起と対応づけ―(教育心理学研究,57,62-72.)
ケン・ラビザ,トム・ヘンソン(1997)大リーグのメンタルトレーニング(ベースボールマガジン社.)
楠見孝(2014)ホワイトカラーの熟達化を支える実践知の獲得(組織科学,48,2,6-15.)
●文/笠原彰(かさはら あきら)
作新学院大学教授、メンタルトレーニングラボ代表、栃木県体育協会スポーツ医科学委員会委員
日本体育大学大学院修了。プロアスリートや中高生チームへの指導など、メンタルトレーニングに関する豊富な実績を持つ。近年はスポーツ分野にとどまらず、一般企業のビジネスパーソンのメンタルスキルトレーニングや講演活動も行っている。著書に『誰でもできる 最新スポーツメンタルトレーニング』(学研プラス)、『気持ちの片づけ術』(サンクチュアリ出版)、『ゴルフのメンタルテクニック エビデンスに基づく 50のドリル』(ゴマブックス)。
http://mt-labo.sakura.ne.jp/
その他のコラム記事を見る
人材育成のツボ
事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子
気持ちがラクになる1分心理学/吉村園子