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人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2021年9月14日)
もし、勤務先が不正行為をしていたら、どうするだろうか。自分も手を染めるか、それとも会社を辞めるか、現実的にはどんな行動をとるだろう。
恐喝された院長
ある歯科医が重いうつ病になり、精神病院に入院した。彼は国立大学の歯学部を卒業し、2カ所の歯科医院で勤務した。その後、独立開業したが、5年ほどすると診療報酬を不正に請求するようになった。当初の目的は医院の経営のためだったが、やがて子供の教育費や自分の遊興費へと変わっていった。
職場では彼の金遣いの荒さが話題になり、不正請求をしているといううわさが立っていた。勤務している歯科衛生士の1人が、院長である彼に不正のことを追及した。すると、給料がはね上がった。その話を彼氏にすると、院長を恐喝するようになった。不正請求の話は彼氏の仲間にも伝わり、院長はさまざまところから恐喝されるようになった。
その後、院長はうつ病を発症し、徐々に悪化していった。そして治療に専念するため、医院を閉めて入院することになった。
客の不安をあおる
自動車整備士の資格を取った大輝は、自宅から車で30分の距離にある整備工場で働くことになった。仕事に慣れてくると、上司から毎日のように「売上を上げろ」と言われるようになった。それは、交換する必要のない部品を売りつけることを意味した。
客に「もし安全を気にするようなら、早めの交換をおすすめします」「まだタイヤ交換には早いですが、もし雨の日に高速を走るようなことがあるなら、交換しておいたほうが安心かもしれませんね」などと不安をあおるような言い方をして営業するのだ。
大輝の勤務している整備工場は数カ所あり、高い売上目標が掲げられ、競争させられていた。ほかの工場に負けないように、必死で売上を上げなければならなかった
大輝は客をだますような行為に良心が痛み、会社を辞めるかどうか悩んでいた。朝になると頭痛や腹痛になり、やがてうつ病になった。辞めるしかないと思っているが、転職しても同じようなことをさせられたらなどと考えると不安になり、決心がつかなかった。
ゆがんだ自己正当化
今回のケースは、経営者の不正やゆがんだ価値観に問題がある。不正行為をする会社は、組織を維持し、社員の生活を守るためには不正も仕方がないなどと、ゆがんだ自己正当化をする。社員も会社のためと思い、不正を続ける。こうした社員の行為は内集団同一化という心理的な要因が働き、所属組織への帰属意識が強いほど、集団の考え方と自分を同一化していく。
歯科の院長が治療するのは、診療報酬の不正請求ができ、遊ぶお金が手に入るからだ。彼は人を救っているのだからぜいたくをして当然だ、などとゆがんだ自己正当化をしていた。
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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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