時給1,000円超なんて、アラフォーの私には憧れの高時給
「私が学生の頃はバイト時給800円だったな…」
「それ、いい方じゃん!俺なんて680円だったよ!」
最低賃金が話題になると、毎年こんな不毛?な会話をしてしまいます。今年も、最低賃金の引き上げが話題になりました。7月28日に厚生労働省中央最低賃金審議会が答申した令和5年度の地域別最低賃金額改定の目安は
全国加重平均1,002円 引上額41円で過去最高
これを受けて、各都道府県労働局の地方最低賃金審議会では最低賃金の改定について議論がスタートしましたが、驚くべきことに、中央が答申した目安額よりも高い改定額を答申する地域が続出しました。その数24。47都道府県のまさに半数です。結果、約3週間後の8月18日、厚生労働省中央最低賃金審議会が出したのは
全国加重平均1,004円 引上額43円で過去最高
と、当初から2円もアップするという近年、稀な答申状況でした。
時給1,000円超え―アラフォーの私からすれば、バイトで時給1,000円なんて憧れの高時給です。しかし、もはや1,000円ですら求人を出せない地域が8都府県もあり、1,100円すらNGの地域が2都県(東京都・神奈川県)にも上るのは驚きです。物価高騰の折、40-50円の大幅な最低賃金アップは、働く側にとっては朗報である半面、人件費としてその負担が直接のしかかる企業側にとっては、これから厳しい状況が待ち受けていることもうかがえます。
高卒初任給が最賃割れ!?
まさかの正社員賃金にもインパクト大
言わずもがな、最低賃金は「時給」だけに適用されるものではありません。「日給」や「月給」なども、時間あたりの賃金が最低賃金を割らないように設定する必要があります。「時給」の場合は、そのまま比較しやすいですが、労働時間・労働日数・諸々の手当てがまるっと含まれている、特に月給の場合には、十万円単位の数字でもあることも手伝って、時間当たりの賃金が「最低賃金以上の額になっているか?」認識しづらいものです。また、月給制の正社員であれば、一般的には他の雇用形態に比べて仕事の内容や責任が重いはず。だからこそ、その賃金が最低賃金よりも低いかも?という発想はなかなかないかもしれません。
しかし、今回の最低賃金の大幅引き上げは、実は正社員の賃金にも大きなインパクトを与えているのです。厚生労働省が公表している2022年の賃金構造基本統計調査によると、新規学卒者の高卒初任給は男女計で181,200円。男性183,400円、女性177,600円となっています。もちろん地域差があるものですし、業種・職種にもよると思いますが、「まぁ、大体このくらいだよね」と世間一般の共通認識と大きなズレはないかと思います。
●文/古橋孝美(ふるはし たかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。求人広告の営業職として、企業の人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動し、企業と労働者への実態調査である『パートタイマー白書』の企画・調査・発行を手がける。2012年、新卒採用・就職活動に関する調査プロジェクトを立ち上げ、年間約15本の調査の企画・進行管理を行う。2度の産休・育休を経て復職。子育て施策や女性活躍に関心があり、休職中に独学で保育士資格を取得。現在は、雇用の現状や今後の課題について調査を進めるとともに、Webサイトのコンテンツのライティング、顧客向け法律情報資料などの作成・編集業務も行っている。