近年、職場における雑談の大切さについて、耳にすることが多いとは思いませんか。元来、日本企業では職場でのコミュニケーションを非常に大切にしてきました。下記は、それを裏付けるデータです。
【出典】一般社団法人 日本経済団体連合会「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」より
これは2018年まで経団連が行っていた「新卒採用に関するアンケート調査」というアンケートです。企業が新卒採用の選考にあたって特に重視している点の第1位は「コミュニケーション能力」。2003年以降、なんと16年連続不動の1位で、直近の2018年では2位の「主体性」に約20ポイントの大差をつけています。(1位82.4%、2位64.3%)
コミュニケーションと一口で言っても、様々なものがございます。今日はそんな中でも最も身近で軽微なコミュニケーション「雑談」について考えてみます。たった今「軽微な」という表現をしましたが、実際のところは自分にとって近しい存在の人物とは気軽にできますが、目上の方や年配者との雑談は少しハードルが上がりますよね。
でも、その軽い雑談が時に盛り上がり、思ってもいなかったくらい「強固なつながり」へと発展することもあるのが雑談の魅力であり、面白いところでもあります。いかがでしょうか? 皆さんは毎日気軽に雑談を行えていますでしょうか。
新型コロナウィルスによる分断
現在もまだ感染者の増減はあるものの、世界中でパンデミックを引き起こした勢いはすっかり鳴りを潜めて、今ではさして怖い存在ではなくなりました。しかし流行当時、企業に求められた対応による影響は、今でも色濃く残っています。
その最たるものがマスクとテレワークです。テレワークについては、その生産性(経費削減含む)の高さと有効性が見直され、アフターコロナの現在も継続中という企業が一定数あります。一方でコミュニケーションの取りづらさなどの課題も大きく、早々に見直し、出社に戻した企業も数多くあります。とはいえ、新しい働き方を見出すことになった点は、コロナ禍がもたらした功績と言えなくもありません。
また、出社していてもマスク着用が義務付けられ、必要以上の会話が憚られた背景も重なり、必然的に会話そのものが大幅に減少しました。取引先に顔を出すことが非常識と捉えられかねず、とりわけ外回りが中心の営業の皆さんはご苦労なさったものと思います。
では、感染症対策がひと段落ついた今、せきを切ったように雑談を含んだ会話量が増えたのかというと、決してそうではなさそうです。つまり、感染症対策の有無に関わらず、現代のビジネスシーンにおいてそもそも職場での会話が減っているのではないでしょうか。
もちろん業務を円滑に回すため、必要最低限の業務上の会話はあるでしょうが、ちょっと手の空いた時や休憩時などに、上司・部下間や同僚同士で趣味や遊び、休日の出来事、家族のことなどを楽し気に話している光景はあまり見かけなくなったように私は感じています。
近年の休憩時の光景といえば、自席PCのモニターでニュースサイトを眺めていたり、黙々とスマホを触っている方が圧倒的に多くなり、敢えて他者との関わりを求めていない、そんな方が多くなっているのではないでしょうか。
●文/山田賢司(やまだ けんじ)
株式会社アイデム 西日本事業本部キャリア開発支援チーム 人材育成・研修プランナー
大学卒業後、教職の道を志し、人生2度目の浪人を選択するも夢破れ挫折を味わう。その後、高額収入の得られる肉体労働やナイトワークに従事し資金を貯めた後、イベント企画会社を起業。しかし業績は安定せず見切りをつけ株式会社アイデムへ営業(現:採用プレゼンター)として入社。約20年間、顧客対応のみならずマネージャーとして営業所運営・部下指導についても多くの経験を積む。現在はこれら数々の経験を活かし、お客様が抱える課題解決のため、研修プランナーとして日々奮闘中である。