春は花が咲き、虫も騒ぎ出すが、人間も本能的になるのだろうか?
最近、有名人が不倫をすると社会的な立場を失うようになった。なぜ、リスクを考えられず、のめり込んでしまうのだろうか。
部下との不倫
35歳の剛士は、次世代のエネルギー開発会社のチームリーダーをしている。家に帰っても食事はないので、夕飯は外で済ませることが多かった。妻は育児疲れで、食事の支度をしなかった。
剛士は部下の女性を誘って夕飯をとっているうちに、部下と不倫関係になった。すると、仕事にもやる気が出てきて、毎日が最高の気分だった。ところが、うっかり朝帰りをしてしまったことで妻にバレた。ショックでうつ病になった妻は、育児ができなくなって実家に帰った。待望の子供が生まれ、幸福な家庭を築くはずだったが人生は一変した。剛士は離婚を決めた妻に、慰謝料を求める裁判を起こされた。
海釣りが不倫の入口に
27歳の美奈代は結婚3年目で子供は作らず、夫と2人で楽しく暮らしていた。共通の趣味はアウトドアで、山登りや釣りをしたり、キャンプに行くことだ。それぞれ別々にキャンプや釣りに行くこともあった。
最近、夫はソロキャンプにハマり、たき火の魅力を語るようになった。そんなある日、美奈代が1人で海釣りをしていると、狙った魚を次々に釣っている男性と出会った。彼女は男性に話しかけて漁港近くの食堂に誘い、釣りの話で盛り上がった。
男性は、美奈代が好きな高級車に乗っていた。美奈代は駅まで送ってもらう途中で、男性に強い魅力を感じてホテルに誘った。その後、連絡を取り合うようになり、2週間に一度のタイミングで会い、不倫関係を続けた。
ある日、美奈代は夫にスマホを見られ、その男性の画像が大量にあることがばれた。美奈代が不倫関係にあることを告白すると、夫は家を出て行った。夫婦で一緒に建てた家は売却することになった。その後、美奈代は不倫関係になった男性から別れを告げられ、マンションで1人暮らしを始めた。
夫婦のすれ違い
剛士はリーダーになったことで生理的に男らしくなり、テストステロンの値が上がって性的欲求が強まっていた。だが、妻からは拒絶されていたので、欲求は剛士をリスペクトしていた部下の女性に向かった。容姿端麗な彼女と付き合うのは楽しく、身勝手な行動をとってしまった。
一方、剛士の妻は育児疲労に加えて、母性の強い女性だった。彼女にはオキシトシンが多く分泌されていた。オキシトシンは出産前後に分泌されるもので、母子関係を守るホルモンと言われている。自分たちを守るために排除したり、攻撃的になることがある。また、彼女は育児に協力的でない剛士に不満があった。
異性を強く意識させられる人
友達夫婦の美奈代は、互いにジェットコースターに乗るのが好きで、いろんな遊園地に一緒に行った。その後、アウトドアブームにのり、釣りやキャンプを楽しむようになった。美奈代が不倫関係になった男性は、友達のような夫とは違い、異性を強く意識させられる人だった。そして本能的に魅かれ、関係を持つようになった。
美奈代が男性に惹かれたのは、排卵期だったことが関係している可能性がある。排卵期の女性は、男らしい男性に魅力を感じやすい時期と言われ、優れた遺伝子を持つ男性を選びたくなるのだ。排卵期は出会いを求めたくなる、という報告もある。
●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。