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人材育成のツボ

「働きやすさ」と「働きがい」は、健全な心理的安全性でつくる

アイデムの人材育成・研修部門の担当者が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづります。(2024年5月16日)

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「こんなこと言ったら、パワハラと受け止められるかもしれない」
「モチベーションを下げてしまうから、言わないほうがいいかな」
「万が一、退職されてしまっては困るから、注意せずに黙っておこう」

 このような「心理的安全性」の誤用は、「言うべきことも言ってはいけない」雰囲気をつくってしまいます。当然、相手に配慮することは良いことですし、言葉を選んで発信することも大切なことです。ただ、度が過ぎると「良い職場」ではなく「楽な職場」をつくってしまう可能性があります。





 本来、「心理的安全性」とは、「周りの評価に怯えることなく、自分の意見や想いを発信するために必要な要素」を意味します。としますと、冒頭の誤った「心理的安全性」は、真逆の状態をつくってしまっていることになります。果たして「楽な職場」で人の成長、組織の成長は期待できるのでしょうか。


よい職場と楽な職場

 そもそも「良い職場」とはどういう状態のことを指すのでしょうか。そのヒントになる興味深いデータがあります。日本経済新聞(2024年5月7日付)上場企業約2,300社を対象とした調査によると、「働きやすさ」は高いが「働きがい」は低い企業を「ホワイト」、逆に「働きやすさ」は低いが「働きがい」は高い企業を「モーレツ」、両方とも高い企業を「プラチナ」、両方とも低い企業を「ブラック」と類型化したところ、全体を占める比率は、「モーレツ」が29%で最多で、プラチナは24%、ホワイトは20%となっています。

 過去10年間の売上高の増加、PBR(株価純資産倍率)の伸びは、プラチナ企業が一番高いという結果でした。要するに「働きやすさ」と「働きがい」の両立が、最良の会社、最良の職場ということです。この調査結果から、評価される「良い職場」は、けして「楽な職場」ではないということが言えそうです。
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●文/波多野雅彦(はたの まさひこ)
株式会社アイデム 東日本事業本部 キャリア開発支援チーム/教育・研修企画担当/キャリアコンサルタント(国家資格)
大学卒業後、大手ゼネコンにて国内外建設プロジェクトの施工管理に従事。経営学修士号取得後、経営コンサルティング会社にて経営体質改善・人材育成支援業務に携わる。現在、キャリア開発支援チームにて、教育・研修を通してお客様が目指す会社づくり、人づくりにお役に立てることを目指して日々業務に取り組んでいる。
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