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シゴトの風景

第133回「就職氷河期世代のため息」

働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。(2025年4月1日)

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「『大手住宅メーカーが大卒初任給を35万円に!』『警視庁の大卒初任給が30万円に!』というニュースを見ると、うらやましいというよりも、信じられない気持ちでいっぱいになります」
 そう語るのは、就職氷河期に大学を卒業してフリーターになり、職を転々としながら33歳で人生初の正社員になった中根遙人さん(仮名・50歳)。ちなみに、そのときの初任給は25万円。それでも、当時は決して悪くない水準だったという。





 帝国データバンクが発表した「初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)」によると、2025年度に初任給を「引き上げる」と回答した企業は全体の71.0%にのぼった。その背景には、少子化によって売り手市場が進み、あらゆる業界で人材不足が深刻化しているという事情がある。
「私たちの世代が社会に出る頃は、初任給を気にする以前に買い手市場で就職自体が厳しかった時代。それに比べて、売り手市場で初任給も高いとなれば、不満のひとつやふたつ言いたくなりますよね」

 しかも、就職氷河期世代が若手だった時代とは異なり、働き方改革などの影響で労働環境は一変。大手企業でなくても、年間休日120日以上、残業月平均20時間以下などと、ワークライフバランスにしっかり配慮している企業が増えた。
「33歳のときに初就職した中小規模の広告会社は、休日出勤や深夜残業は当たり前。しかも、リーマン・ショックの影響で、入社2年目には給料の支払いが滞るようになり、入社3年目に倒産してしまいました」

 その後、何度も転職を繰り返したこともあって、中根さんの収入は決していいとは言えないという。国税庁の「令和5年度民間給与実態統計調査」によると、50〜54歳の男性の平均年収は540万円だが、それをおおいに下回っているそうだ。
「今の会社は昇給など期待できないし、ボーナスも微々たるもの。にもかかわらず、人材不足の影響で新卒初任給を引き上げる方針だとか。それに合わせて私たちの収入もベースアップしてくれたらいいんですけど、今の状況を見ていると期待できず…。もう、不公平感しか感じません」

 それに加えて、今はセクハラやパワハラといったハラスメント行為に気をつけなければいけない時代。複数名の部下を持つ中根さんは、極力若手たちと業務以外のコミュニケーションを控えているという。
「某テレビ局の不適切接待疑惑問題が取り上げられるようになってからは、若手の女子社員をクライアントとの飲み会に連れていくことさえ、躊躇するようになりました。考えすぎと思われるかもしれませんが、『上納システム』なんて言われたら怖いですからね。私たちが若手だった頃とは環境がまったく違うので、適応するのに必死です」

 さらに近年は、給料が上がらないうえに、未曾有の物価高が続いている状況。中学生と小学生の2人の子どもを持つ中根さんは、まだまだ子供の生活費や教育費がかかるなか、常にカツカツの状態が続いている。
「それだけではありません。子供が生まれてから、『いつかはマイホームを!』と考えてコツコツ貯蓄をしていたのですが、ここ10数年で急激に不動産価格が上昇。マイホーム購入は、夢に終わってしまいました」
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