連絡手段の多様化によって、職場に休みの連絡を入れるときに電話ではなく、LINEなどのSNSが使用されることが増えてきているようです。SNSの利用は便利ですが、運用のルールを決めていないと、管理職が対応に苦慮する場面も少なくありません。今回は、体調不良を理由に当日LINEで有給休暇取得を申請してきた部下への対応を考えます。
■今回の事例
営業部の係長Aさん(40代男性)は、始業5分前の午前8時55分に部下Bさん(20代、男性)からLINEで休むという連絡を受けました。LINEの内容は「おはようございます。朝から熱があり、体調が悪いため、本日有給休暇を取得させてください」というものです。
今日は月末で、重要な取引先への提案資料の提出期限です。Bさんが担当している顧客も含まれており、急きょ他の人が対応する必要が出てきました。Bさんの代わりに対応した人からは「急に休まれると予定が崩れる」という声も出ています。入社3年目のBさんは半年の間に数回、当日の朝にLINEで有休を申請しています。Aさんは、どのように対応すべきでしょうか?
■解説
有給休暇は「原則として認められる」もの
年次有給休暇は、労働者に認められた権利です。また、取得理由を使用者に伝える義務もありません。会社側には、業務に著しい支障がある場合に取得日を変更できる「時季変更権」がありますが、単なる人手不足や忙しさでは認められません。客観的に説明できる特別な事情が必要です。
ですが、有休の取得は事前申請が基本です。当日申請だと企業は時季変更権の行使が難しいので、欠勤扱いにすることも可能です。しかし、体調不良などの「やむを得ない事情」を一切認めない運用は現実的ではなく、職場の不満を招くでしょう。今回の問題の本質は、職場のルールと運用の不透明さにあります。
「予定された休暇」と「急な休暇」を分けて考える
多くの職場では、有休の申請期限を「前日まで」などと定めています。これは業務調整のために必要なルールです。しかし、体調不良などの突発的な事情まで同じ基準で運用することは現実的ではありません。そこで重要になるのが、次の2点です。
�〕縦蠅任�る休暇
・原則として前日までに申請
・勤怠システムなどの所定の方法で申請
��体調不良などの急な休暇
・できるだけ早く上司へ連絡
・連絡手段(電話・メール・SNSなど)を決めておく
・必要な引き継ぎ事項を共有する
このように、予定休暇と急な休暇を区分してルールを整えることが重要です。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。