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事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

第31回「休職理由でパワハラが疑われるとき」

働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。(2026年10月13日)

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 厚生労働省発表の「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.2%(令和5年は10.4%)となっています。

 メンタルヘルス不調の背景には仕事量や人間関係、家庭の事情、健康上の問題など、さまざまな要因がありますが、職場のハラスメントもその1つです。職場でメンタル不調による休職者が出たら「環境に問題がなかったか?」を確認し、必要な改善につなげることは企業の重要な責任です。今回は、若手社員が休職し、上司の指導のあり方が疑われたケースについて考えてみます。





■今回の事例「厳しい上司の下で若手が休職」
 Aさん(28歳男性)がメンタルヘルス不調で休職しました。仕事への意欲も高く、周囲からも期待されていた社員だったため、突然の休職に職場は驚きました。
 休職後、同じ部署のメンバーから「上司のBさんの指導がかなり厳しかった」「毎日のように強い口調で叱責されていた」という話が聞かれるようになり、総務担当者は「パワーハラスメントが原因ではないか?」と考え、調査を行うことになりました。このような場合、会社はどのように対応すればよいのでしょうか?


■解説

本人の意向を確認し、事実関係を丁寧に把握する

 休職理由にパワハラの可能性が考えられると、企業はすぐに「休職者の上司を処分しよう」と考えてしまうことがあります。しかし、休職者本人(Aさん)の話を十分に聞かないまま、対応を進めることは適切ではありません。

 まずは本人の体調を最優先にしながら、「どのような出来事があったのか?」「どのような言動が負担になったのか?」「いつ頃から体調に変化があったのか?」「本人は会社に何を望んでいるのか?」を確認します。本人が話せる状態でなければ、無理に聞き出す必要はありません。主治医の意見も踏まえながら、回復状況に応じて進めることが大切です。

 聞き取りは本人だけでなく、上司や同僚などの関係者にも行い、客観的な事実を整理します。厳しい指導とパワハラは同じではありません。業務上必要な指導であっても、人格を否定する発言や、人前で繰り返し叱責する行為などは、パワハラに該当する可能性があります。一方で、業務上必要な範囲で行われた注意や指導であれば、パワハラには当たらない場合もあります。伝聞や推測、思い込み、うわさではなく、事実に基づいて判断することが重要です。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。
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