「桑山さん、元芸人なんですから、ウケる話し方のコツを教えてくださいよ」
講演会の懇親会で、ほぼ必ずいただくリクエストです。そして、ほぼ必ずこう続きます。
「私、話が面白くないって言われるんです」
ご安心ください。私も似たようなことを言われまくっていました。実は私、芸人時代に先輩からこう言われていました。
「桑山の話は、長すぎてオチまで待てない」
面白くしようとして、情報を全部詰め込んでいたのです。
先に結論を言います。ウケる話し方の肝は「面白いことを言う」ことではありません。「聞きたい状態を先に作る」ことです。
「この後、まさかの展開が!?」のロジック
人は「知っていること」と「知りたいこと」の間に隙間ができると、それを埋めたくなります。これは心理学者のジョージ・ローウェンスタインによって提唱された心理学理論で、「情報の空白理論」と呼ばれています。「自分が知らないと気づいたときに好奇心が生まれる」 という心理で、広告でよく使われる「少しだけ情報を出し、続きが気になる状態」は「情報の空白理論」を応用したものです。テレビ番組のCM前の「この後、まさかの展開が!?」が、まさにこれです。くやしいけれど、つい見てしまいますよね。
これを雑談に応用するキーワードが【○○の話なんだけど…】です。話の頭に、短いタイトルを付けるだけです。
例えば、私の実話ですが「以前、朗読教室に通ってたときに、65歳のおばあちゃんがいてね。年賀状のやりとりを15年続けてたんだけど、ある日、急に連絡が来て…」と話したとします。これだと聞き手は「何の話?」「いつ終わるの?」と不安になります。これが「長すぎる」と感じる正体です。そこで、この話をするときの冒頭に、タイトルを付けます。
私「80歳のおばあちゃんに誘われた話なんだけどさ」
聞き手「え、誘われた?」
これで聞き手の頭に「空白」ができました。あとは同じ話をするだけで、最後まで聞いてもらえます。(ちなみにオチは、ねずみ講の勧誘でした…)
興味を持ってもらうコツと注意点
話の頭にタイトルをつけるコツは、タイトルで「オチを言わない」ことです。「おばあちゃんにねずみ講に勧誘された話」と言ってしまうと、空白が埋まってしまい、相手は聞く必要がなくなります。ギリギリ手前で止める。芸人のネタ作りと同じ要領です。仕事の場面でも同じです。
例えば、上司に取引先との打ち合わせ内容について報告するときを想定して、話の切り出し方を比べてみましょう。
� 崟莉気裡措劼箸梁任噌腓錣擦任垢�、担当の方が代わられて、その引き継ぎが…」
�◆孱措劼侶錣如�1つうれしい誤算があったんですが…」
�△里曚Δ�、上司は仕事の手を止めて顔を上げると思いませんか。「うれしい誤算?」という空白ができたからです。朝礼のひと言なら「今日は、私の一番恥ずかしかった失敗の話をします」。これだけで、下を向いていた人が顔を上げます。
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●文/桑山元(くわやま げん)
研修講師・お笑い芸人・俳優。早稲田大学教育学部を卒業後、大手損保会社に入社。新入社員代表として答辞を務める。入社2年目に資産運用担当者として1,000億円を運用。その後、メインバンク本店担当部署で法人営業を経験。同社を退社後、声優養成所を経て、時事ネタを得意とするコントグループ「ザ・ニュースペーパー」に19年間所属。2022年に退団し、芸人と研修講師の二刀流で活動スタート。会社員時代に培ったビジネススキル、お笑い芸人として磨いたコミュニケーションスキルとアドリブ力などを武器に、企業や自治体などで数多くの研修を実施。メディア出演・掲載実績多数。著書に『すぐ使える!おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術』(日本実業出版社)。キャリアコンサルタント(国家資格)、損保代理店資格(特級・一般)、ニュース時事能力検定(準2級)。