採用面接で、応募者の中から「自社に合った人をどう見極めるか?」について、実践的な方法や企業が考えておかなければならないポイントを解説します。(2026年10月29日)
<目次>
・時間配分と緊張をほぐす方法
・途中で「合わない」と思っても
・オンライン面接で注意したいこと
採用面接というのは、考えてみればかなり異常な場です。
初めて会ったよく知らない人に、自分の人生を左右する判断をされる。その人が、事務的に自分の過去を掘り返してくる。「なぜ?」を何度も繰り返されると、自分を否定されているような気分になる。応募した理由など大したものではないのに、そう答えるわけにもいかず、なんとか筋の通った話をしようと頑張る。普通の神経の持ち主なら、緊張しないほうがおかしいでしょう。
ところが面接担当者の中には、緊張していることを理由に「対人能力が低い」「情緒が不安定だ」と評価を下げてしまう方がいます。
これは面接担当者の側の謙虚さが足りないと、私は思っています。よく「酒に酔うと本性が出る」と言いますが、人は普段、酒に酔っていません。しらふのときに「何を考え、どう動くか?」が、仕事での「本性」ではないかと私は思います。面接という異常な場を、できるだけ「普通の場」に近づけて、素の状態で話してもらう。それが接し方の基本とすることから、面接での接し方を考えてみましょう。
時間配分と緊張をほぐす方法
さて、面接の要素は3つです。最初に面接担当者の自己紹介と軽い雑談、真ん中に本題であるインタビュー、最後に応募者からの質問。時間の目安は1対8対1、60分なら6分、48分、6分くらいが妥当かと思います。
冒頭の自己紹介や雑談は、緊張を解きほぐすためのものです。アイスブレイクなどとも呼びます。「今日は雨がひどいですね」「何線で来られました?」程度で十分です。「これからの景気はどうなりますかね」のような、考え込ませたり、評価されていると誤解させたりする話題は避けましょう。
そして、ゆっくり柔らかく話すこと。人には相手のペースに合わせる性質があり、こちらが早口なら相手も早口に、こちらが堅苦しければ相手も堅苦しくなります。この雑談は「あなたと私は対等ですよ」と言外に伝える役目も果たしますし、実は面接担当者自身の緊張もほぐしてくれます。
もう1つ、私がよく使っていた手があります。「この面接では、そんなにアピールしなくて大丈夫です」と最初に率直に伝えることです。「仕事はチームでやるので、苦手なことがあっても構いません。むしろ苦手なときに周りに助けを求められるかのほうが大事です」と。私がいたリクルートは「明るく元気な人ばかり」と思われていましたが、実際に欲しいのはそういう人ばかりではなかったので、「うちにはおとなしい人もたくさんいます」とわざと言うようにしていました。面接担当者の側も、立派な入社動機ではなく「ちょっとしたきっかけで入った」といった格好よくない話をする。すると相手は「この人も普通の人なんだ」と感じ、素を出しやすくなるかもしれません。
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●文/曽和利光(そわ としみつ)
株式会社人材研究所代表、人事コンサルタント
大学卒業後、リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスなど、さまざまな企業で採用や人事、組織開発の責任者を務める。2011年、人事コンサルティング会社、株式会社人材研究所を創業。大手から中小、外資系、ベンチャー、官公庁など、多くの組織に向けて人事や採用のコンサルティング・研修・講演を行っている。著書に『採用に強くなる』(日経文庫)、『人材の適切な見極めと獲得を成功させる採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など多数。