ワークシェアリングで、多様な人材を確保
人材確保のための効果的な仕組みとして、ワークシェアリングがあります。今回から2回にわたり、ワークシェアリングについて解説します。
将来、人が採れない時代に?
企業にとって人材の確保は将来の大きな課題であり、喫緊の問題でもあります。将来の課題と目されている理由は、少子高齢化の影響による人口の減少です。日本の総人口は減少を続けており、労働市場では労働力人口の減少が見込まれています。
総務省統計局発表の人口推計(2013年10月1日現在)によると、生産年齢人口(15〜64歳)は7,901万人(前年比116万5,000人減)で、32年ぶりに8,000万人を下回りました。今や65歳以上人口の割合は25.1%で、4人に1人となっています。
また、喫緊の問題でもあるのは、今後増えると思われる介護支援や、近年増加しているメンタルヘルス不全による休職者対応など、滞りなく業務を進めていくためには適切な人員配備が必要だからです。それを行うには、必要な人材を確保しておかなければなりません。
少子高齢化以外に、人材確保に影響を及ぼしている事柄として、個人を取り巻く環境の多様化があげられます。バブル崩壊を発端に終身雇用制は過去のものとなり、転職は珍しいことではなくなりました。個人の就労意識や人生観もさまざまです。配偶者や子供、要介護者の有無、自分の健康状態など、各人はさまざまな事情を抱えながら働いています。
そんな中、これからの企業に求められていくのは、各人が自分に合った働き方を選べることではないでしょうか。将来、労働力人口の減少によって雇用情勢が売り手市場になったとき、さまざまな働き方を用意していない企業は、就職先として求職者に選んでもらえなくなるかもしれません。
そうした中、早くから人材の確保に取り組んできた業界があります。看護師の不足が課題となっている医療業界です。
退職した女性を復職させる
2006年、診療報酬の改定が行われ、それを発端に看護師の争奪戦が起きました。改定によって全体の診療報酬は削減されましたが、看護師を手厚く配置すれば報酬がアップすることになったのです。看護師の人数が多く、手厚い看護を提供できる病院ほど、高い報酬を得られる仕組みです。多くの病院が基準を満たすことで増額される診療報酬を得ようと、看護師を積極的に採用するようになりました。
現在も医療機関では、人材不足が大きな課題となっています。診療報酬の改定以外にも、さまざまな不足要因があります。その1つは離職です。離職の理由は長時間勤務や夜勤などの労働環境によるものもあれば、出産・育児、自分や親の健康問題などに関する生活環境の変化によるものもあります。
また、医療の高度細分化や患者の権利意識の高まりへの対応などによる業務量の増加で人手が足りていないことも考えられます。そもそも日本は医師の絶対数(※)が不足しているという指摘もあります。
※OECD(経済協力開発機構:欧米の先進国によって、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関)のヘルスデータ2010年版によると、日本の医師数は人口1000人当たり2.2人(加盟国平均3.2人)
さまざまな事情から人材不足に悩まされてきた医療機関は、人材を確保するための取り組みを行っています。その1つが、現在働いていない有資格者の掘り起こしです。具体的に言えば女性医師、女性看護師です。結婚や出産・育児などにより、仕事と家庭の両立が困難になり、退職してしまった女性たちです。
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●文/三宅航太(みやけ こおた)
株式会社アイデム人と仕事研究所研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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