第6回「早期退職をしてしまうアルバイトのホンネ」
パート・アルバイトスタッフに「いかに定着してもらい、戦力として力を発揮してもらうか」についての施策や、考えるヒントなどを解説します。
そろそろ、年末年始の繁忙期を視野に入れた計画を考える頃かと思います。製造業などの方は11月末から12月中旬、販売サービス業などの方は12月中旬から年末年始に多くのパート・アルバイトさんの求人をされるはずです。 仕事を覚えてもらうのに1〜2カ月を要する職種では、すでに募集活動に入られているかと思います。せっかく苦労されて入社までにこぎつけたのに、繁忙期前に「仕事が合わないみたいです。退職させてください」は辛い一言ですね。
今回は「入社したのにすぐに辞めてしまう」、もしくは「欠勤から連絡不通になって仕方なく退職処理をする」というようなことにならないようにする防止策を考えていきます。 今までにお伝えした内容で共通しているのは「パート・アルバイトの立場に立って考えてみる」ですね。退職理由は十人十色と言われます。でも、これは枝葉の考え方の結果であって本当の理由、本質的な課題は多くて3つくらいに特定されてくるはずです。私は以下に集約されると考えています。
1.人間関係の不調2.働きたい曜日・日付・時間帯の不一致3.労働と賃金の不釣り合い感
そうです。「業務が自分に合わなかった」は『面接時点』での課題であって、退職理由には含めていません。もちろん、この考え方は前回お伝えしたような「しっかりとした面接」をしていることが前提です。 上記3つの内容で共通しているのは、「自分ではコントロールできないもの」ということになります。労働と賃金に関しては調整を図ることもできますが、新人から進言するのはなかなかできない、という声も多いのが実情です。
人間関係の不調については、自らドンドン既存メンバーの輪の中に入れる稀な方はいらっしゃいますが、少数派であることは間違いありません。人間のストレスのほどんどは人間関係に関するものだ、という書物も多いです。 チーム形成の初期にリーダーにとって必要不可欠なことは、「チームのメンバーに興味を持つ」ことです。「ウザい」と言われる方もいらっしゃいますが、気にかけてもらえるという心理は安心・安堵感を生むことは言うまでもありません。
反して、休憩室の隅っこに新人さんがいても仲の良いメンバーでの会話だけ。休憩終わりで立とうとしたとき、会話がピタッと止まって新人をジロリ。「お疲れさまです! 休憩あがります」の声掛けにもほぼリアクションなし。こういうシーンは私も経験がありますが非常にツライですよね。休憩した心地がしません。逆に疲れてしまいますよね。 極端な事例かもしれませんが、結構見受けられる状況です。組織の開発や立て直しを依頼される仕事をお引き受けした際には、「休憩室」「更衣室」「従業員専用トイレ」の3カ所は最重要チェックポイントにしています。
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●文/植竹剛(うえたけ つよし)1971年生。株式会社チームのちから代表取締役。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長経験を経て、チェーンストア化を目指す企業にヘッドハンティングされて転職。その後、数社で店舗運営に関するさまざまなノウハウを学び、2012年、組織における人の問題の解決支援を行う株式会社チームのちからを設立。これまで直接関わったアルバイト採用はのべ2万人、店長経験は11店舗に及ぶ。著書に『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社)、『落ちこぼれスタッフから最強のチームを作る極意 店長養成道場』(日経BP社)がある。オフィシャルブログ: http://team-chikara.com/blog/店長養成道場: http://tenchoyouseidojo.com/バイトテロ対策: http://www.baitoterro.com/
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