第20回「残業の多い部下にどうアプローチするか?」
現場マネジャーに向けて、リーダーとしての心構えやマネジメントの手法などを解説します。
叱る前に、原因の分析を!
ワークライフバランスが求められる現在、どんな企業も例外なく残業の削減に取り組んでいるはずです。おそらくこの記事を読んでいる管理職の方も、会社のトップや人事部から、残業削減について結果を出すように通達が出ているのではないでしょうか。 残業削減は、企業にとってみると(と同時に上司の立場から考えても)、残業代という人件費の削減になりますし、部下の精神的・肉体的な健康維持という観点でも重要です。
残業というのは、突発的なトラブルや年度末の繁忙期などには、どうしても避けられないものですが、慢性的に残業の多い部下というのは、周りの環境とは関係なく、本人の事情でそういう状態になっていることが考えられます。 そういう部下に対して、「とにかく残業するな!」と、叱り飛ばす上司がいますが、いくら厳しくアプローチしても、本人にその原因が分からなければ、努力の方向性も見えませんし、一時的には早く帰るようになっても、いずれ同じことを繰り返します。まずは、どうして残業が多いのかという原因分析を行うことが肝要です。 残業が多い部下の傾向を大きく2つに分けると、
�(�理的にそもそも業務オーバーであるか、本人に効率的な仕事ができていないケース
��業務の多寡にかかわらず、心理的に残業をしてしまうケース
になります。 前者の場合は、先ほどもお伝えしましたが、やみくもに「残業するな」と言っても、残業を減らす具体策が本人には分かっていないことが多いので、単に委縮させるだけで、改善は望めません。大事なのは、「部下が具体的にどの仕事にどれくらいの時間をかけているか」という現状把握です。
私にもこんな失敗がありました。まだ課長になったばかりのことです。人事部の中で、社員以外の契約社員やアルバイトの人事管理を行っている課の担当だったのですが、まだ社歴の浅い部下に、「全社で働いている契約社員とアルバイトの人たちの年齢分布や平均在籍期間を把握したいから、全体のプロフィールをまとめておいてほしい」と指示したのです。 部下は、「分かりました!」と元気よく引き受けてくれました。その後、何度となく「あの件は、どうなった?」と確認していたのですが、「ええ、今、やってますから」と、前向きな返事が返ってくるので、私は安心して資料が上がるのを待っていました。
ただ、その間、その部下は残業が続き、超過勤務時間も多くなってきたので、「現状で、できているところまでいいから、途中の経過を報告してほしい」と、半ば強制的に本人からデータを見せてもらったのですが、資料を見て目が点になりました。なんと現場のマネジャーから全契約社員と全アルバイトの人たちの履歴書のコピーを集めて、きれいなプロフィール表にまとめていたのです。
かなりの数の契約社員とアルバイトの人たちが働いていましたから、そんなプロフィール表を作っていたのでは莫大な時間がかかるのは当然です。私はグラフ化した全体傾向を見たかったのであって、そんなきれいな一覧を求めたわけではなかったのです。 年齢や在籍期間は、すでにデータ管理されていたので、それらをアレンジすればいいだけの仕事だったのですが、私の指示が曖昧なうえに明確なゴールも提示せず、部下にはとんでもない時間の浪費をさせてしまったのです。私は猛反省しました。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)など多数。連絡先:info@planet-5.com
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