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トヨタ自動車の社内で生まれた「自工程完結(JKK)」という考え方を、ストーリー仕立てで解説する書籍が話題です。同書のエッセンスをご紹介します。(佐々木眞一/トヨタ自動車株式会社顧問・技監+一般社団法人中部品質管理協会)
トヨタ自動車では、社内で生まれた「自工程完結(JKK)」という考え方に沿って、仕事を進めています。仕事の質を高め、やり直しを防ぐダンドリ仕事術「自工程完結」は勉強やスポーツなど、「段取り」があるもの全てに活用できる究極の思考法です。
トヨタの思考法(自工程完結)を理解する
自工程完結とは製造現場で生まれた、『作業者自らが責任を持って、一つひとつの工程で悪いモノは作らない、流さない』という考え方です。『工程』とは『手順(プロセス)』を指します。例えば身近な例で、『カップラーメンを作る』手順で考えてみましょう。
カップラーメンを作る手順は下記の通り。
「(1)お湯を沸かす、(2)(沸くのを待たず)カップのフタを開けて、(3)粉末スープなどの袋を取り出し、(4)袋を破って粉末スープなどをカップに入れる。(5)沸いたお湯をカップの線まで注ぎ、(6)フタを閉めて、(7)3分待って出来上がり!」
このように、おおよそ7つの手順に分けられます。これらの手順を間違いなく行う、つまり『一つひとつの工程を完結させる』こと(=自工程完結)により、美味しいカップラーメンが食べられます。
後工程はお客様という考え方
クルマの部品は、約3万点にものぼります。そのようなクルマで、組み付けた部品が壊れてしまったら、人命にも関わることになります。そのため、いくつも検査(チェック)をして、不良品があれば取り除いています。しかし発生した不良品は廃棄し、良品と取り換えなければなりません。
さらに部品が壊れた原因を究明する必要もあり、時間や費用がかかり、ムダも発生します。そこで、検査に頼るのではなく、『自工程完結』によって良いモノだけを、後に続く工程=『後工程』にバトンのように引き渡す。そうすることにより、出来上がった最終品も、間違いなく良いモノであると保証の考え方が生まれたのです。
モノづくりの世界では、『後工程はお客様』という考え方があります。仕事は多くの部門や関係者で成り立っています。そこで後工程をお客様と捉えて、後工程の期待に応えるアウトプット(成果物)を引き渡して、お客様に高い品質の商品やサービスを提供します。
サッカーのW杯で日本人サポーターが、試合後のスタンドに落ちていたゴミを拾う姿が世界で称賛されましたが、あれも、『後に使用する人への思いやり』から生まれた行動と言えるのではないでしょうか。
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