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シゴトの風景

第1回「後悔のない人生」

働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探る。

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●田川洋一さん(仮名・38歳・システム開発会社勤務)


  システム開発会社に勤める田川洋一さんは、温厚な人柄が伝わってくるような柔和な笑顔が印象的だ。その田川さんにかつてプロデビューを目指し、ロックバンドでドラムをたたいていた過去があるとは想像もできない。バンドを抜けて10年になるが、所属していたバンドは今も活動中だ。メジャーデビューこそしていないが、コアなファン層から熱い支持を得る。
「かつては仲間内でたくさんバンドがありましたが、みんなやめてしまいました。なので、1つでも続いているのはうれしいです」


  28歳でバンド活動に区切りをつけ、システムエンジニア(以下SE)として新たなスタートを切った田川さん。今の会社は、SEになって3社目だ。2回の転職は、最初はキャリアのステップアップ、次はやりたいことを追求した結果である。
  現在の勤務先は少数精鋭で、各自が自分の裁量で仕事を進めていくというスタイルだ。2社目の会社では、管理職も経験した。上から人員削減を迫られ、部下を退職に追い込むつらい仕事もあった。キャリアチェンジをして10年。無我夢中でやってきた。


  SEを目指したきっかけは、バンドに専念する前にさかのぼる。かつて、田川さんは正社員として中古CD店で働いていた。上京して大学に通っていたが、経済的な事情から学校を辞め、働かざるを得ない状況にあった。
「当時、店の売上は手計算でした。それを面倒に思っていたとき、パソコンで簡単にできることを知ったんです。ウィンドウズ95が出たぐらいの時期で、パソコンはまだ普及していませんでした。仕事用に1台買っていじっていたら楽しかったんです」
  店を辞め、バンドが生活の中心になってから、生活費を稼ぐためにやったアルバイトはパソコンを使う仕事ではなかった。だが、バンドのホームページを作るなど、パソコンへの興味は続いていた。人生、何が役に立つか分からない。



 
  大学のときから続けていたバンド活動に専念したのは、中途半端な自分に嫌気がさしたからだ。だんだん仕事が忙しくなり、バンドがおろそかになっていた。バンドはレコード会社やライブハウスの関係者たちに目をかけられ、評価を得ていたという。考えた末、田川さんはバンドに本腰を入れることにした。
「同せいしていた彼女と結婚したのもそのころです。社会的に不安定な状況でしたが、バンドのことは“今、やらないと後悔するんじゃないの”と彼女にも後押しされて」


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