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ゼロから学ぶ人事評価

第6回「現実にあった制度の作り方〜評価運用編〜」

人事評価制度は運用が難しかったり、形骸化するなど、実際に機能させるのは簡単ではありません。本コーナーは、実際の運用を念頭に置いた制度作りをゼロから解説します。(2019年3月14日)

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 いよいよ最終回です。いくら立派な評価シートを作っても、運用しなければ意味がありません。今回は評価シートの役割、設計から運用方法までを解説します。

 

 

評価シートの役割

 

 評価シートは、会社(上司)が部下を一方的に評価するためだけのものではありません。シートをもとに、会社(上司)と部下が合意するためのものです。
 会社には目的や目標があり、それを達成するために各従業員が業務を実行します。その実務内容が記載されたものが評価シートです。評価期間の初めに、評価内容の説明と理解が必要です。この作業は会社(上司)と部下とのコミュニケーションにもなります。

 

 

 

 

プロセスと数字

 

 評価項目は、できるだけ数字を用います。限りなく公平に近いのは、やはり数字です。ただ、数字だけの評価は危険でもあります。中小企業の場合、退職による補充採用が中心なので、数字の成果を簡単に出せる部署や営業担当先に配属されると、いきなり高い成績を出すこともありますし、その反対もあるので不公平です。

 

 したがって、プロセスの評価も必要となります。プロセスは、各従業員に取り組んでほしい行動の内容を考えて、評価項目とします。
 評価方法に目標管理制度を導入している企業をよく見かけます。この制度は従業員が自分に期待される役割について考えて、目標を設定する方法です。そして会社(上司)と従業員がコミュニケーションをとって、目標を決定します。

 

 従業員本人が目標を設定することは、意外と難しいです。目標が、会社の目的を達成するための手段になっていないことが多いのです。従業員自ら目標を設定することが当たり前のようになっていますが、目標は会社(上司)が決めます。もっとも重要なのは、その従業員に設定された目標の内容(もしくは理由)を会社(上司)がしっかりと説明して、従業員に納得してもらうことです。

 

 

評価期間とインセンティブ

 

 評価期間は6カ月が一般的です。多くの企業で、賞与を年間2回支給していると思いますが、そのための評価を基本とします。そして、賞与支給に利用した年間2回の評価結果の合計で、1年に1回の昇給審査を行います。さらに、その昇給審査に利用した評価2年分(賞与4回分)で昇格審査を行います。

 

 相撲で例えるなら、賞与1回が1場所、2場所連続で高成績なら番付が上がる(昇給=月次給与が上がる)。さらに高成績の場所が続き、明らかに以前と異なるような結果を出すと、大関や横綱に昇進(=課長や部長、等級が上がる)するということです。
これは、評価エラーを少なくするためです。多くの中小企業は昇格・降格時期に再度評価をしています。しかし、そうすることで直近のイメージや評価結果が影響してしまう傾向が強くなり、昇給が昇格時期の少し手前で高成績だった従業員は、昇給も昇格も有利になっている傾向が強いのです。

 

 そして何より重要なのは、運用が簡単ということです。評価制度は運用できなければ意味がありません。できるだけ簡単にするためにも評価の回数は少なく、ルールが簡単なほうが良いのです。

 

≫次ページに続く
・評価結果の利用方法
・最後に

 

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●文/真田直和(さなだ なおかず)
特定社会保険労務士、人事労務コンサルタント。
1973年大阪府生まれ。近畿大卒。大手社労士法人勤務を経て独立。これまで企業の人事労務に関する、さまざまな問題解決やコンサルティング業務に携わる。著書に「中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング」「続 中小企業の人事制度・考課制度設計コンサルティング」(ともに明日香出版社刊)。企業・団体への研修、講演実績多数。
http://www.nsanada-sr.jp

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