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労働関連法で実務に直結した部分をクローズアップし、分かりにくい点や対応策などを解説します。(2019年5月9日)
会社との労使協定の締結時には、要件を満たす労働組合が存在しない場合は、「労働者の過半数代表」(以下「過半数代表者」)の署名捺印が必要です。4月1日から「過半数代表者」の選出要件が、より具体化され、従来に増して厳格な運用が求められます。
<背景>
これまで、過半数代表者は、次の2つを満たすことが要件とされていました。
(1)労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
(2)労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること
<労働基準法施行規則の第6条の2>
実際には、会社サイドから個人を特定して一方的に指名・決定されるなど不適切な事例が散見され、こうした使用者の意向によって選出された過半数代表者が署名捺印した労使協定は、それ自体が無効と判断されるため、厳格な運用が望まれていました。
<主な改正内容>
4月1日より次の要件が追加されました。
ア)(2)の要件に、「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」
イ)新たに4項として、「使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行なわなければならない。」
ア)は、会社サイドの不適切な関与を明確に規制するためのものです。イ)は、過半数代表者の権限と機能を高めるためのもので、過半数代表者が従業員の意見集約等を行う場合の一定の事務機器(イントラネットや社内メール等)や事務スペースを提供することを具体例として示し、「必要な配慮」を求めています。
<選出方法の点検>
過半数代表者の選出方法は(2)の通りですが、投票や挙手を行う対象となる従業員には注意が必要です。有期雇用者であるパート社員やアルバイト等を含み、また過半数代表者となることのできない管理監督者も含まれます。なお、派遣社員などの間接雇用労働者は直接雇用関係がないため、派遣先ではその対象にはなりません。
必要な労使協定の締結の確認にとどまらず、過半数代表者の選出についても点検することが重要です。
●文/田代英治(たしろ えいじ)
社会保険労務士。株式会社田代コンサルティング代表取締役。神戸大学経営学部卒。企業の人事制度の構築や運用、人材教育などに取り組む。著書に「人事部ガイド」(労働開発研究会)、専門誌への寄稿など執筆実績多数。
http://tashiro-sr.com/
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