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メンタルトレーニングの考え方をベースに、ビジネスシーンで沸き起こるさまざまな感情との向き合い方を解説します。(2020年5月14日)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、経済活動は停滞し、さまざまなイベントが延期・中止になっています。スポーツ界にも大きな影響を与えており、東京オリンピックは延期になり、国際プロサッカー選手会の報告によると不安や鬱の症状を訴える選手の数が急増しているそうです。
新聞報道によれば、1月中旬以降のTwitter投稿約2900万件のつぶやきを解析した結果、安倍晋三首相が2月27日に臨時休校を要請以降、「疲」「ストレス」「鬱」が含まれる投稿が急上昇しているそうです。
このような生死に関わる危機的状況に対応するために、近年注目されている心理的スキルがレジリエンスです。レジリエンスとは、「困難で脅威的な状態にさらされることで一時的に心理的不健康の状態に陥っても、それを乗り越え、精神的病理を示さず、よく適応している(小塩・中谷・金子・長峰,2002)」状態です。日本では、回復力、復元力、反発力と訳されています(今村 他,2013)。
図1.レジリエンスの概念(今村他(2013)を一部改訂)
レジリエンス研究は1970年代に始まったとされ、戦争や自然災害などの外傷体験をしても、抑うつ症状やPTSDを発症しなかった人々の要因研究が始まりとされています(齊藤 他,2009)。レジリエンスは、誰でも持っていて、向上させることが可能だと考えられています(Grotberg, 2003)。
平野(2010)は、国内外の先行研究によって示されたさまざまなレジリエンス要因を分類し(表1)、「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」の上位概念として「資質的レジリエンス要因」、「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」の上位概念として「獲得的レジリエンス要因」を抽出しました。
今回は、獲得が比較的容易な獲得的レジリエンス要因の問題解決志向を紹介したいと思います。平野(2010)は、3つの問題解決志向行動を報告しています(表2)。
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●文/笠原彰(かさはら あきら)
作新学院大学教授、メンタルトレーニングラボ代表、栃木県体育協会スポーツ医科学委員会委員
日本体育大学大学院修了。プロアスリートや中高生チームへの指導など、メンタルトレーニングに関する豊富な実績を持つ。近年はスポーツ分野にとどまらず、一般企業のビジネスパーソンのメンタルスキルトレーニングや講演活動も行っている。著書に『誰でもできる 最新スポーツメンタルトレーニング』(学研プラス)、『気持ちの片づけ術』(サンクチュアリ出版)、『ゴルフのメンタルテクニック エビデンスに基づく 50のドリル』(ゴマブックス)。
http://mt-labo.sakura.ne.jp/
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