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採用した外国人スタッフに定着して、戦力として活躍してもらうために、企業が準備すべきことや、考えておかなければならないことなどを解説します。(2020年9月3日)
前回は、日本語が「省エネ言語」であり、その特性上、どうしても話し手ではなく聞き手にコミュニケーション上の負担を強いる傾向にあることを確認しました。今回はこの話の続きとして、では話し手として、日本人は一体どういう日本語を用いれば「外国人とのミスコミュニケーションを防げるのか」という点について、具体的に説明していきたいと思います。
キャッチボールで考えてみる
まず本題に入る前に、みなさんと外国人スタッフとの日本語によるコミュニケーションのありかたについて、キャッチボールに例えて考えてみたいと思います。野球の試合と異なり、キャッチボールというのは、勝負ではありません。お互いがボールを投げ合う(取り合う)行為がキャッチボールです。コミュニケーションが双方向(インタラクティブ)という性質を持つことについては以前も触れましたが、キャッチボールも双方向のやりとりです。一方のがんばりで成功するようなものではなく、お互いがお互いのレベルに合わせてボールを投げることで、キャッチボールは成立します。
もし、みなさんが相手の取れないスピードでボールを投げたら、キャッチボールにはなりません。キャッチボールには「相手が取れないボールを投げてはいけない」というルールがあります。このボールを、日本語として考えてみましょう。もしみなさんが、外国人スタッフとコミュニケーションを成立させたいと考えるなら「相手の分からない日本語を使ってはいけない」ということになります。
なお、日本語のレベルは相手によって異なります。ですからみなさんは、相手によって日本語のレベルを(ボールで考えればスピードと角度)コントロールしなければなりません。そのほうが、コミュニケーションが「お互いにとって」楽になるということを、まずは知っていただきたいと思います。
反対に、相手の投げたボールが、必ずしもみなさんの取りやすいところに飛んでくるとは限りません。場合によっては大きく逸れてしまい、猛犬がいる家の庭に飛んでいくこともあるでしょう。しかしみなさんは、やりとりを続けるためには、そのボールを拾いにいく必要があります。みなさんは、相手の胸元に、相手が取りやすいボールを投げ、そして時には取りにくい相手のボールをしっかり受け止めます。これがやりとりの基本です。
相手が取りやすいボールの投げ方
今回は、みなさんが受けるボール(外国人の日本語)についてではなく、みなさんが投げるボール(日本人の日本語)について、より相手が取りやすいボール、すなわち「伝わりやすい日本語とはどういうものなのか」を考えるため、2つのポイントをご説明します。特に日本語レベルの高くない方とのやりとりが実際に職場である方は、今日から実際に使ってみていただきたいと思います。
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●文/淺海一郎(あさみ いちろう)
内定ブリッジ株式会社代表。大手進学塾にて主に難関校を受験する子女の国語科教育を10年行い(実績約1,400名)、2009年に日本語教育業界へ転向。留学生や国内外の外国人会社員、会社役員へ日本語コミュニケーション教育を行う(実績約1,000名、国籍数61カ国)。現在は日本語教育事業に加え、年間で約40カ国500名の欧米、アジア圏人財への就労支援の他、社内教育や就労支援の現場で集めた多国籍の人財の声を、留学生教育機関(海外大学、国内大学等)や企業の皆様に、講演やセミナー、コンサルティングという形で届けている。
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