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これからの人材活用(2012年4月〜2013年3月)

第8回 事例研究/納得できない採用は「しない」〜製麺機シェアトップ企業の強さの秘密〜(大和製作所)

「当社の製品は、一切、値引き販売いたしません」「理不尽なクレームをつけてくる会社とは、お取引をいたしません」
 景気低迷が続く今、言いたくてもなかなか言えない、言葉です。この、強気の姿勢を貫く会社が、香川県綾歌郡宇多津町、岡山から瀬戸大橋を四国側に渡ってすぐのところにあります。うどん・ラーメン・そばの「製麺機」メーカー、大和製作所です。
 麺業界は、「うどん・そばが毎年3,500軒、ラーメン店は毎年4,000軒が開店し、両方とも毎年ほぼ同数が閉店している(同社)」激戦区。什器ごと新店に明け渡される「中抜き」でのオープンも多く、製麺機業界も頭打ち状態なのが実際です。
 そんななか、業界では最後発となる創業37年の同社が売上を伸ばし続け、今や全国のシェアトップを誇ります。なぜ、どうして、強いのか。その理由の1つに、同社が「絶対にやらない」とする、もう1つのこだわりがあります。それは、「人手が足りず、どんなに現場が苦しくても、納得できない採用は、絶対にいたしません」というものです。
 この、徹底したこだわりは、いったいどこから来ているのでしょう。また、人が充足していないのに、なぜ、会社が成長できるのでしょうか。その、秘密を探ります。
 

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9割は書類で落ちる、現場の社員がさらに厳選
「人手が足りず、どんなに現場が苦しくても、納得できない採用は、絶対にいたしません」

 採用は、未来への投資である。だからこそ慎重に、自社に合った人を選びたい。半面、急な退職による欠員補充や、新拠点のオープンなどスケジュールの決まった業務拡大の場合など、「待ったなし」となることも少なくない。

 大和製作所でも多くの場合、採用は「待ったなし」。にもかかわらず、絶対に妥協しない姿勢を貫いている。1975年に機械設計・総合サービス業で創業、後に製麺機メーカーに転じた同社を、一貫して率いてきた代表取締役社長藤井薫さん(写真)は、その理由を 「過去の経験」とだけ話す。「まあ、いいか」で採用し、「良いことは1つもなかった」。

 例えば書類選考は、平均して10人中9人は落ちる厳しさだ。また、「その人が本当に自社が望んだ人かどうかは、実際に働いてもらわないと見極められない」という理由から、最近は紹介予定派遣での正社員採用を、積極的に取り入れる。

 もちろん、派遣契約で仲間として数カ月間一緒に働いても、正社員登用の厳しさは変わらない。最近も、「名古屋の拠点で、2カ月契約でお願いした紹介予定派遣の方に、1カ月での契約打ち切りをお願いしたばかり」だ。もちろん、残り1カ月分の料金を、派遣会社に全額支払った上で、である。
 
「最近は、私より現場の社員の方が、妥協しません。名古屋の場合、既存の社員のスピードに、派遣スタッフがついてこれなかったのが理由、と聞いています」


履歴書で見る「3つの」ポイント
 厳しい選考は、書類の段階から始まっている。チェックポイントは、大きく3つ。
 
 「第1に、履歴書に貼付された写真です。顔には、その人の生き方が、いや応なく表れるものです。具体的には、目力があるか。想いがにじみ出ているような顔なのか、です。これを見る目は、ずっと人にこだわってきて、履歴書の写真を見続けるなかで、体得したものなので、言葉にするのは難しいのですが・・・、自分では、年々精度が増していると感じています」

 2番目は、職歴だ。具体的には、「流れ」と「長さ」に注目する。流れとは、右上がりか、右下がりか、ということだ。つまり、職歴に一貫性があり、かつ転職するたびにより良い会社または役回りに、就けているのかという視点。一方、長さは、過去に在籍した各社における勤続期間。これが極端に短かかったり、転職する度に短期化しているような人は、書類で落とす。

 「右上がりが感じられる人は、転職しても成長できている人です。また、正社員の場合、ある程度の覚悟を決めて応募するのが当然だと思います。だから、勤続期間がどこをとっても短い人は、そもそもの心構えに課題あり、と考えます。もちろん、業績悪化など致し方ない場合もあり、気になる応募者に関しては、履歴書に書かれた企業の情報を取り寄せます。過去の勤務先は、その方が『選んだ』ところでもあり、ご本人の価値観や判断基準を見るのにも役立ちます」

 3番目が、結婚の有無という。

 「結婚は、仕事の能力とは直接的には関係しません。しかしながら特に男性の場合、ご家庭を持っている方のほうが、やはり安定して働いてくれるように感じます。ので、参考情報として、チェックしているのです」
 

面接で何を見るのか〜現場の目線と経営視点〜
 
書類選考を通ったら、面接だ。同社では、少なくとも1人につき3度する。最初が、人事部門の担当者による面接。続いて、同じ職場で働くことになる現場の社員や上司による二次面接。最後が、藤井さんが行う三次面接だ。3回面接して、それでも気になる点がある場合には、もう一度呼び出すこともあるという。
 
 「面接で見るのは、応募者のより本質的な部分です。『うちに』合う人かどうか? が、重要です。合う人とは、仕事を他人事ではなく自分事と捉えられる人。常に情熱を持って仕事に取り組める人。また、未来に向けた挑戦意欲がある人、その人の“安心領域”から、出られる人、です。“安心領域”とは、過去に経験してきた仕事領域。慣れた分野はもちろんのこと、未経験の分野でも臆せず対応できる人を採用したいと考えています」と藤井さん。

 採否は、各面接担当者の意見を聞きながら決定する。一方、経営者の視点で、「現場の反対を押し切って」採用する場合もある。

 「例えば、今回、製麺機のメンテナンス職で、初めて女性を採用しました。機械の不具合はお客さま店舗の経営に、大きな打撃を与えます。このため24時間365日態勢でメンテナンスを行っており、仕事はかなりハードです。しかも製麺機の部品が重いこともあり、従来、事実上男性だけが担当していました」

 男性である必然性が高かった職種で、あえて女性を採用する理由は何か。それは第一に、思い込みによる硬直的な人員配置を止めるため。例えば同社では、かつて男性にさせていた“営業”担当を、途中で女性に切り替えた。試しに女性を登用したところ、女性の方が、より適切に対応できることが、分かったからだ。

 「きめ細やかな心配り。また、お客さまの情報を社内に共有し、より柔軟かつ適切な対応をチームでしていくコミュニケーション力に、女性の方がたけていると思います」

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所在地(本社)/香川県綾歌郡宇多津町浜三番丁37番4
創業/1975年
従業員数/正社員53人、パート等18人
資本金/9000万円
売上高/14億8000万円 (2012年3月期)
事業内容/製麺機の製造販売、麺専門店経営・店舗運営相談、新規開業トータルプロデュース事業
ホームページ/http://www.yamatomfg.com

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