人材育成や評価、意思決定など、マネジャーにはさまざまな役割が求められます。マネジャーに必要な視点や考え方、心の持ち方などについて考察します。(2021年11月11日)
なぜソフトバンクホークスは、今年優勝できなかったのか?
企業は毎年、期の初めにスローガンのようなものを掲げますよね。「コロナ禍の今こそ大きな変化を」とか、ストレートに「全社一丸○○億円!」とか。野球のチームも毎年、スローガンのようなものを掲げます。
古い話ですが、長嶋監督が率いていたジャイアンツでは、「メイクミラクル」「メイクドラマ」などが有名です(野村監督からローマ字読みで「負けドラマ」などと冷やかされたこともありました…苦笑)。
今回も野球の話で恐縮ですが、過去4年間、日本一になっていたソフトバンクホークスは、今シーズン、5連覇を狙っていたのですが、クライマックスシリーズにも参戦できない4位にとどまってしまいました。
私は特定のチームのファンではありませんが、今年のシーズンが始まる前に、ホークスに対して、少しだけ悪い予感がしたのも事実です。その悪い予感の原因になったのが、今年のソフトバンクホークスのスローガンでした。
2021年のソフトバンクホークスのスローガンが何だったかというと、『鷹く!』というものでした。「5連覇という、さらなる高みを目指そう」ということと「ホークスの鷹」をかけたものなのですが、最初に聞いたときに、「なんだか、そのまんまだし、ひねりが足らないなあ」と感じたのです。
そして、このスローガンに至る過程で、「誰も(球団関係者も親会社の孫さんも)何も言わなかったのかな。5連覇に対して強い思いがあるのなら、もっと“練られた”スローガンを…という要望があってしかるべきなのに…」と正直に思ったのです。
もちろん、これが今シーズンの不振のすべての原因だというわけではありませんし、あとからなら何とでも言えるという声も聞こえそうですが、とにかく『鷹く!』のスローガンに、なぜか一抹の不安を感じたのです。
スローガンに必要なのは、意味の共有ではなく、思いの共有
私が過去のホークスのスローガンの中で、最初は「ん?」と思って、あとから意味を聞いて「これは素晴らしい!」と、心揺さぶられたのは、2011年の『ダ』でした。スローガンが『ダ』の一文字というのも極めて珍しいものです。
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●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。