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人事労務に関するトラブルは、労働者と雇用主の双方にとって負担となります。職場でトラブルになりがちなことについて、予防の観点から解説します。(2022年3月8日)
労働災害(労災)とは、労働者が通勤や仕事をしているときに被ったケガや疾病、死亡のことです。通勤中に起きたものを通勤災害、仕事中に起きたものを業務災害と言います。工場作業中のケガや建設現場での転落死のようなケースだけでなく、過重労働による脳・心臓疾患やハラスメント行為などの心理的負荷による精神障害も含まれます。
企業は労働者を管理下に置いて、その労働力を活用しています。そのため、労働者の健康が損なわれないように安全確保の措置を講じる義務があり、労災が起きたらさまざまな責任を負わなければなりません。コロナ禍の今、職場でのクラスター発生など、業務に起因して感染した場合は労災の対象になります。今回は、労災について解説します。
企業は補償責任を負う
労災が起きたら、企業は所轄の労働基準監督署に労働者死傷疾病報告書を提出しなければなりません(労働安全衛生規則97条)。報告を怠ったり、虚偽の報告を行うことを「労災かくし」と言います(労働安全衛生法第100条及び第120条違反)。労災かくしは犯罪行為であり、50万円以下の罰金に処されます。被災した労働者に対して、企業は補償責任を負います。
労働者が働けない間の治療費や生活費などを補償する制度を「労働者災害補償保険(労災保険)」と言います。国による公的な制度で、企業が納付する保険金を元に補償を行います。農林水産の事業の一部を除き、1人でも労働者を雇った事業主は加入する義務※があります(保険料は全額事業主負担)。雇用形態は関係なく、パート・アルバイトなどの短時間労働者も加入しなければいけません。
※事業開始から1年を経過しても加入していない企業は、その期間に労災事故が発生した場合、補償に要した費用を徴収される
企業は労災で休業した労働者を、休業期間中及びその後30日間は解雇してはいけません(労働基準法第19条)。治療が3年以上にわたり、その後も治癒する見込みがない場合は、例外として「打ち切り補償(平均賃金1200日分)」を支払うことで解雇することができます。
労災の認定基準
労災保険の給付申請は、本人かその遺族が行うのが原則です。労災を認定するのは、所轄の労働基準監督署です。業務中に発生した死傷病がすべて労災と認められるわけではなく、因果関係がある場合です。因果関係は、業務遂行性と業務起因性という2つの基準から判断されます。労働者本人の過失で発生した災害でも、基準にかなっていれば労災と認められます。
・業務遂行性:病気またはケガをした労働者が事業主の支配下で就業している状態にあることで、災害発生時に「仕事をしていたかどうか」を問うもの
例えば、休憩時間中でも事業場内で行動している場合や出張、運送・配達などの外出作業中など、事業主の管理下を離れて仕事をしていても、支配下にあることに変わりはありません。そのため、業務遂行性が認められます。
・業務起因性:業務と災害の発生に因果関係があることで、その原因が「どのくらい業務に関係しているか」を問うもの
例えば、過労死や心疾患などの疾病と業務との関連性を考えるには、さまざまな事情を考慮しなければなりません。労働時間や業務の性質、治療を受ける機会の有無、上司に相談して軽微な業務に転換することが可能だったかなど、さまざまな状況が考えられます。また、労働者の日頃の習慣、性格などの個人的素因も加味する必要があります。
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●文/株式会社アイデム 東日本事業本部 データリサーチチーム
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