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どんなに優秀な人を採用しても、すぐに辞められてしまったら意味がありません。定着率は働きやすさを測る指標であり、会社の生産性を左右します。(2022年4月12日)
10年以上にわたり、年100回以上セミナーに登壇してきました。その会場で回収した参加者アンケートが手元に約3万枚あります。集計すると、経営者、マネージャーの最大の悩みは「離職」であることが分かりました。
新卒の3年以内の離職率は、大卒で3割、高卒で4割にもなるという厚生労働省のデータがあります。この数値は10年以上大きな変化はありません。以前は「石の上にも3年」という言葉のとおり、いったん就職すれば少なくとも3年は我慢して踏みとどまるというのが一般的でした。でも、そう考える人はずいぶん前からいなくなっていることが分かります。
もっとも、離職率の数字だけを追うのはナンセンスです。キツイ言い方ですが、会社にぶら下がっているようなスタッフだけが残っても意味がありません。大切なのは、あなたの職場にとって必要な「できる人材」の流出を防ぐことです。
優秀な人材にはできるだけ長く勤めてほしいというのは、すべての経営者、マネージャーの共通の願いでしょう。この連載では、スタッフの離職を防ぎ、やる気の高い状態で働き続けてもらうための具体策をご紹介します。
「教育してもらえなかった」から辞めた…
以前、ある飲食チェーンの経営者から、元スタッフに対して退職理由をヒアリングした調査結果を聞かせてもらいました。それによると一番の理由は「教育してもらえなかったから」でした。
入社して間もない新人は右も左も分からず、常に不安な状態で職場にいます。それなのに、新人教育をきちんと行われないまま、現場に投げ込まれて、いきなり指示されたことをやれと言われても、うまくできるはずがありません。やり方が分からず、まごまごしていたり、ミスをしてしまった際に「何やってんだ!」などと怒鳴られるようなことがあれば理不尽さを感じます。それが続けば辞めてしまうでしょう。
実際、教育をされないまま現場に立たされるケースは多くあります。息子の友人のバイト先(飲食店)では、採用後に2〜3時間の研修をして、次の日から店舗のホール業務を1人で任されることになったそうです。スタッフ不足の中で現場を回すために致し方ないのかもしれませんが、本人としては不安で仕方なかったことでしょう。
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●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『人材マネジメント一問一答』(商業界)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/
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