人材育成や評価、意思決定など、マネジャーにはさまざまな役割が求められます。マネジャーに必要な視点や考え方、心の持ち方などについて考察します。(2022年10月20日)
オン派にもオフ派にも、それなりの言い分はある
最近では管理職研修などの研修もオンラインで実施することが当たり前のようになってきています。受講者のカメラをオンにすることを前提にしている企業もあれば、カメラオフをデフォルトにしている企業もあって、私が担当する研修時のカメラオン/オフは、先方企業の方針によって判断することがほとんどです。
最初の頃は、カメラがオフだと相手の表情が見えず、反応が分かりづらかったことで、カメラオンのほうがやりやすかったと記憶していますが、最近では、カメラオフにも慣れてきたのか、受講者の方の声に集中することができるようになり、声のトーンなどで相手の反応を感じることができるようにもなりました。
なので、オフだからやりづらいという感覚は、今はそれほどありません(もちろん確信犯的に反応が全くない方に対しては、お手上げ状態になるわけですが、そういう方はそもそもカメラオンでもどうしようもないので、同じと言えば同じです)。
テレワークでもカメラのオン/オフ問題というのは根が深く、一律にこうしたほうがいいとは言えないテーマです。企業の方針として、それぞれの企業がカメラのオンやオフを前提としている場合は、その大方針に従えばいいと思います。
悩ましいのは、特に会社としての方針が決まっておらず、判断を現場に委ねられているケースでしょう。
一般的な話になりますが、オン派の言い分は、
●カメラオフだと、自分の言っていることが伝わっているかどうかが確認できない。うなずきや表情などの反応が見えず、自分の話が一方的な気がして不安になる
●安心した状態でのコミュニケーションができないので、必要以上に神経を使い、エネルギーを消耗する
●そもそもコミュニケーションを拒絶された気になり、信頼関係の醸成が難しい
…などです。
一方のオフ派の言い分は、
●在宅勤務は、指示された業務遂行が目的であり、服装や身だしなみ(とりわけ化粧など)は本来の業務には無関係であり、それらに気を使わなくてはならないのは無駄な労力を使うことになる
●プライベートの環境が他人に見えてしまうことは避けたい
●カメラオンにすることで回線データが重くなり通信環境が悪くなる
…などが代表的な例です。
●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。