人材育成や評価、意思決定など、マネジャーにはさまざまな役割が求められます。マネジャーに必要な視点や考え方、心の持ち方などについて考察します。(2022年12月15日)
部下をさまざまな面で支援するサーバント・リーダーシップ
近年注目を浴びているリーダーシップ論の1つに、サーバント・リーダーシップというものがあります。リーダーシップという言葉を聞くと、「1人のリーダーが上に立ったり、先頭を走ったりして、メンバーを力強く引っ張っていく」というイメージを頭に浮かべる人が多いと思います。
しかし、サーバント・リーダーシップは、「まずメンバーの成長や利益のために、文字どおり奉仕し、その上でビジョンや目標に向かってメンバーの主体的な行動を促していく」という支援型のリーダーシップのことです。
従来のリーダーシップ論では、リーダーの具体的な指示命令によりメンバーを動かしていくことを前提にしていましたが、サーバント・リーダーシップは、メンバーの動機の源泉(モチベーションリソース)に働きかけ、その思いに傾聴し共感することから、メンバーの主体性を引き出すことに重きを置いています。コーチング的なコミュニケーション・アプローチに特徴があるともいえます。

部下に奉仕するという意味では、「上司にとって部下は顧客のような存在」だというくらいの気持ちを持つ必要があります。これは、部下の側に立てば、「ボス・マネジメント」という考え方になると思います。
経営トップなど、上の立場から管理職の役割を考えることはよくありがちですが、下の立場から(つまり、部下の立場から)管理職の役割を考えてみると、いろんな発見もあります。
アメリカでは、コンピテンシー(高業績者に共通する行動特性)研究の中でも、「ボス・マネジメント」という考え方は、ごく普通に取り上げられており、MBAのカリキュラムの中にも含まれているほどです。「上司は部下のコンサルであり、部下は上司のクライアント」という思想に基づいた「上司の機能論」なのです。
●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。