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2013年4月以降、希望者全員の継続雇用が企業に義務付けられる「改正高年齢者雇用安定法」。長年高齢者雇用を続け、「わが社は『定年ゼロ』」を公言する前川製作所も、「全員一律は民意に反するのでは」との意見です。とはいえ、法律。“人を活かす”同社の、極めて実際的な対策を聞きました(取材・写真・文/アイデム人と仕事研究所 所長 平田未緒)
希望者全員の継続雇用が企業に義務付けられる「改正高年齢者雇用安定法」。
その施行が、2013年4月1日に迫っています。
改正法の、企業側の受け止め方は、さまざまです。
中には「若手が採用できない分、ベテランに頑張ってもらえるのはありがたく、問題ない」とする声もあります。
一方、「雇用増をまかなうほど業績の伸びは期待できず、既存社員の雇用を延長するなら、その分新規採用を控えざるを得ない」といった声が大きいのも事実です。
「高齢者を雇うことによる人件費増を補うため、若年層の給与を下げざるを得ない」という判断をした企業もありました。
そんななか、高齢者雇用をすでに長年続けている前川製作所も、「一律に65歳まで雇用せよ、と決めることは、民意に沿わない」と、異を唱えています。
“竪型冷凍機”で1924年に創業した同社は、「わが社は『定年ゼロ』」と公言する会社。実際、最長老の社員は81歳。日本国内で働く2200人の1割以上、240人が60歳以上の高齢者となっています。
同社人事採用研修グループで、高齢者雇用分野を担当する係長、大嶋江都子さん(写真・上)は説明します。
「定年ゼロは、定年がないという意味ではありません。でも、実際には定年になっても辞める人がほとんどいない、ということで使われ始めた言葉なんです。事実ここ数年、定年退職者のうち、再雇用で働く人は、毎年8〜9割という高率です。私が新卒で入社した当初から、おじいちゃんみたいな年齢の方が隣で働いているのは、当たり前の風景でした」
要するに同社では、すでに改正法の内容を先行適用していたような格好です。なのになぜ、今回の改正に首をひねるのでしょうか。
そこにあるのは、高齢者雇用を長年続けてきた企業だからこそ見える改正の課題。そして、すでに生じ始めている「予期しなかった」高齢者活用の影響でした。
すでに「定年ゼロ」なのに、定年延長しない理由
「当社の定年は今、60歳です。今回の改正法施行を機に、定年を65歳に延長する企業の話も聞きますが、当社ではあえて定年延長はいたしません」と、大嶋さん。
4月1日以降も、既存の継続雇用制度(下記)を基本的にそのまま、運用する。変更は、1カ所だけ。現在「あり」としている再雇用条件欄を、「なし」にするだけである。
<継続雇用制度の概要>
・定年…60歳
・退職金…60歳定年時に支給
・再雇用条件…条件あり(2013年4月以降「なし」に改定)
・60歳以降の雇用形態…1年間の有期契約雇用
・契約更新…条件を満たせば可
・上限年齢…定めなし
・労働時間…フルタイム勤務(1日8時間×週5日間=40時間)
・賃金…59歳時の60%程度
・社会保険…加入
・福利厚生…現役社員と同様
大嶋さんは、定年延長しない理由を、こう話す。
「実際には『定年ゼロ』にもかかわらず、あえて定年延長しないのは、60歳という節目を、大切にしたいからです。若者と高齢者では、人としての成長過程が、当然違いますよね。これに従って、社内で期待される役割も変わってきます。高齢者の力を社内できちんと活かすには、成長に応じた役割を果たし、周囲に期待される働き方をしてもらうことが不可欠です。現役時代とは、求められるものが違うと理解してもらい、従来、会社として“こんな人でなければ、再雇用できませんよ”と伝えてきた基準に合うよう、高齢者ご本人の意識も変えていただくために、定年という節目を大事にしているのです」
活躍する高齢者の「3つの基本条件」
定年を迎え、自身も再雇用者として働く、広報室 エグゼクティブPRマネージャーの榊原裕重さんも、「定年という節目」の重要性を、体験者の視点で強調する。
「60歳になり、定年という形で、一区切りつけることは、とても大事だと思います。私自身、歳雇用された当初は、今までと同じペースで仕事をしてしまい、どうしても出過ぎることがありました。これでは、現役世代がやりづらく、チームとしての力をそいでしまいます。かといって、引っ込んでしまってもダメで、控え目な積極性を心がけています。自ら再雇用者として働いてみて、高齢者の力が活き、かつ組織力も高めるには、難しいバランス感覚が必要なのだと思いました」
ちなみに、これまで設定してきた、再雇用のための条件は6つ。うち、定年ゼロを明文化して以来、基本となっている重要な考え方が以下の3つだ。
<継続雇用の3つの基本条件>
・健康でやる気があること
・自分に合った、自分らしい、やっていきたい、続けていきたい仕事がはっきりしていること
・職場で一緒に働く人たちや周囲の関係する人たちも一緒にやっていこうという理解と支援の環境が整っていること
要するに、仕事を遂行するにあたり、高齢者本人が、心身ともに自律できていること。さらに、周囲の温かな協力が得られる環境を、自らの力で作り得ていること、が条件だ。
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株式会社前川製作所
所在地(本社)/東京都江東区牡丹3-14-15
設立/1924年
従業員数/国内約2200人、海外約1100人(2013年2月現在)
売上高/540億1943万8000円(2011年12月期<国内のみ>)
資本金/10億円
事業内容/産業用冷凍機を中心とする各種コンプレッサーの製造
食品加工機械の開発・製造およびトータルエンジニアリング
冷熱の総合エンジニアリング
ホームページ/ http://www.mayekawa.co.jp
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