上司よりも社歴や年齢が上の部下がいるというケースは、今や当たり前です。ただ、ベテランの中には、仕事ができない社員もいます。そうした場合、成果を上げられないことや失敗に対して苦言を呈することを躊躇してしまうこともあるはずです。
その部下が、自分が新人時代にお世話になった先輩や当時の上司であったとしたならば、なおさらでしょう。今回は、仕事ができないベテラン社員の対処法について、ご紹介しましょう。
自分よりもはるか前に入社しているベテラン社員だからといって、気を使いすぎて、伝えなければならないことを伝えられないのでは、上司として失格です。年齢や社歴が上の相手でも、組織の中の役職においてあなたが上位であれば、上司としての立場で振る舞う必要があります。
もちろん、役職を外せば人生の先輩であるわけですから、その点は敬意を持って接することも忘れないようにしてください。私がアパレル専門店チェーンのマネジャーをしていたときは、年上の部下には必ず敬語を使って話しかけるようにしていました。
相手の気持ちをくみ取る
また、ベテラン社員なのに「なんでこんなことができないのだろうか?」と思い、腹立たしく感じることがあるかもしれません。この場合、そもそも基礎的なことが分かっていないことが考えられます。何年も仕事をしているのに、「そんなはずはない」と思われるかもしれませんが、年齢や社歴に関係なく、スキルの習得度合いや知識量が劣っているケースは多々あります。
これまで、我流で仕事をこなしてきていたので、正しいやり方を忘れてしまっている場合もあります、それゆえ、成果を出すことができないのです。
まずは、そのスタッフが「何が分かっていないのか?」「できないのか?」を明確にすることです。手間はかかりますが、作業であれば1つずつやらせてみて、正しく理解できていないところを見つけていきましょう。
IT機器やアプリなどの操作があやふやというケースもあるでしょうが、ベテラン社員の中にはプライドが高い人もいるでしょう。他のスタッフが見ている前で、間違いを指摘するなどは避けてください。相手の気持ちをくみ取りながら指導を行うことが不可欠です。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『人材マネジメント一問一答』(商業界)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
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