■会社概要
【本社所在地】東京都渋谷区神宮前1-5-8 神宮前タワービルディング21F
【設立】2010年8月
【資本金】1,987万8,500円
【事業内容】DXソリューション事業(マーケティングDX・新卒採用マーケティングDX)
株式会社あつまるは、新規見込み顧客があつまる「集客」や、優秀な就活生があつまる「新卒採用」といった『人があつまる』仕組みを提供している企業である。顧客に対して、曖昧な感覚ではなく、データに基づいたコストパフォーマンスの高い集客戦略を提供。同社は『全従業員のビジョンの集合体=会社の経営計画』とする「個人ビジョン経営」という経営手法を実践し、「日本における『働きがいのある会社』ランキング」小規模部門で2022・2023年度の2年連続No.1に輝いた。
こうした取り組みが奏功し、付加価値額において設立以来平均121%の成長を続けている。そんな同社の経営方針や施策について、経営企画室室長の田村楓さんに話を伺った。
―御社は「日本における『働きがいのある会社』ランキング」小規模部門で2年連続第1位を受賞されました。史上2社目、7年ぶりの快挙だそうで、おめでとうございます。
ありがとうございます。1位を受賞し続けることを目標に、2019年に初エントリーしたときは12位で、2020年、2021年と続けて6位でした。そして1位という大変栄誉ある賞を2年連続で受賞でき、社内一同大いに喜んでいます。
当社は理念経営を行っています。全従業員が「個人ビジョン」を掲げ、会社のビジョンとすり合わせながら取り組みを進めていくことによって、働きがいが非常に高まっていると自負しています。
―御社が理念経営を始めた経緯からお教えください。
当社代表取締役社長の石井陽介は、25歳の2005年に、福岡のアパートの一室で仲間と「日本トップレベルの会社をつくる」と決めて、現在とは別の会社を創業しました。じきに大阪にも拠点を展開したのですが、3期目あたりから社内に問題が発生し始めたのです。社員の個性を尊重するものの理念はなく、事業拡大の一本やりで、福岡と大阪で対立が生じてしまいました。そこで石井は大阪を任せていた共同代表者と話し合った結果、意見が対立したまま分社化することになりました。石井が30歳になった2010年のことです。
経営企画室室長 田村楓さん
従業員の所属は本人の意向で決めることにしたところ、石井について来てくれたのは、創業期のメンバー7名中1名、その他15名だけでした。その16名で改めて立ち上げたのが、現在の会社です。後日、石井は唯一残ってくれた創業メンバーに当時の自分について聞いたところ、「誰のことも信用していない」「攻撃的」など、「およそ『実るほど頭を垂れる稲穂かな』の真逆」であったと指摘されたのです。
石井はどうすればいいのか分からず、経営の勉強を始めます。そのとき稲盛和夫さんの盛和塾※の存在を知り、入塾しました。そこで「フィロソフィをベースに経営する」ことに瞠目し、のめり込みます。石井は稲盛氏の「京セラフィロソフィ」を掘り下げ、自分が納得できる項目を整理して「あつまる」としての分かりやすいフィロソフィにかみ砕き、34歳のときに「フィロソフィBOOK34」として社内に発行しました。
実践の中で新たに得た気づきや経験を加える形で改訂を続け、現在は3冊目を発行しています。従業員が増えるにつれ、石井が直接すべての経営判断や指示を行うことが難しくなり、石井の分身を育てる必要が生じます。「フィロソフィBOOK」はその教科書の役割も負っています。
※京セラの創業者、稲盛和夫氏が塾長を務める経営者の勉強会。2019年末に活動終了・解散